捕手編（３）小松大谷高・東出直也（173cm73kg・右投右打）

　この夏の甲子園でビックリしたのが、小松大谷高・東出直也捕手（173cm73kg・右投右打）の変身ぶりだ。

　昨年の石川県大会でも、“2年生捕手”東出のプレーは見ていた。

　地元の方は県内で指折りのキャッチャーと誉めていたが、正直、バッティングもスローイングも、捕手としてのムードや所作も、あまりピンと来なかった。

　それが、なんだ！

　この夏の甲子園では、グラウンドに入ってきた姿が遠目に見えた瞬間、173cmなんてとんでもない、177cm80kgほどにも見えていた。

　マリが弾むような弾力で、矢のような送球を二塁ベースの上にポンと乗っけて、バッティングもインパクトの瞬発力抜群の思い切りのよいスイングから、バックスクリーン方向に痛烈な弾道を残す。

　どんな表情でプレーしているのか……通路のモニター映像を見に行った。

　毅然とした風貌、見るからに意志の強そうないい面構えだ。背格好もそうだが、その面構えまで、大分・楊志館高の頃の甲斐拓也捕手（現ソフトバンク）が重なる。いや、プレーの能力だけでは、当時の甲斐捕手を超えていると見る。

　オレがこのチームを背負っているんだ……そう、顔に書いてある頼もしさ。石川県大会の時から、進路を問われると、「プロ一本です！」とニコリともせずに言いきってきた潔さ。

　チーム以外に、どんなことを背負ってきたのかわからないが、高校球界で最近稀少価値になりつつあるキリッと系の「好漢」である。