《雨と甲子園》「野手もロジン」「2日で計8失点でも…」前回（12年前）の“雨天ノーゲーム”を逆転勝ちした高知バッテリーの記憶

　プロ野球のトレードと雨のノーゲーム。同じ日の2つのニュースに「あの公文？」と連想した人がいれば、相当な甲子園通といっていい。

　8月12日に日本ハムの公文克彦、平沼翔太と西武の木村文紀、佐藤龍世の交換トレードが発表された。同日は日本列島を広範囲に襲った記録的豪雨の初日でもあり、夏の甲子園では第1試合でノースアジア大明桜（秋田）と帯広農（北北海道）が戦ったが、降雨のためノーゲームに。4回終了時点で明桜が5対0と大きくリードしていた中での取り直しとなった。

　今秋のドラフト指名候補でもあるノースアジア大明桜の風間球打は、幻となったノーヒットピッチから中2日空けての「再登板」でも、帯広農の強力打線を相手に2失点完投。見事に初戦を突破した。

「審判がはかま姿なので、雨では続行できない」

「夏」の降雨ノーゲームは、最も古い例で1917年（第3回）の決勝戦がある。愛知一中（現在の旭丘高）が関西学院と対戦し、6回2死まで0対1で負けていたが、雨のため「ドロンゲーム（ドロー）」で逃れた。出場選手が後年、雑誌の取材に対して「審判がはかま姿なので、雨では試合続行ができなかった」と答えている。翌日も緊迫の投手戦となったが、延長14回を1対0で勝利した。このときの愛知一中は史上唯一の「敗者復活からの優勝校」としても知られている。1回戦で敗れた6校から抽選で4校が復活。すべて1点差で勝ち続け、頂点に達した。運も天候も味方につけた勝者ともいえる。

　以後、今回で19度目の降雨ノーゲームだが、リードしていながら取り直しでは敗れた例が7度もある。最大の悲劇として記録されているのが2003年（第85回）の駒大苫小牧（南北海道）だろう。倉敷工（岡山）を相手に4回途中までに大量8点をリードしながら、無情の雨。取り直しは2対5で敗れている。この不条理な敗戦をバネに、翌年から夏連覇。3連覇を懸けて早実（西東京）と決勝引き分け再試合の激闘を繰り広げた。

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