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《名門の変革》「マウンドに集まるの、やめないか?」智弁和歌山が小園健太を乗り越えた夏…イチロー直伝の走塁と全員野球 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph bySankei Shimbun

posted2021/08/08 17:02

《名門の変革》「マウンドに集まるの、やめないか?」智弁和歌山が小園健太を乗り越えた夏…イチロー直伝の走塁と全員野球<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

和歌山大会を制し、4大会連続25回目の甲子園出場を決めた智弁和歌山高校。スタンドへの挨拶を終えると喜びを爆発させた

「今年の場合は、飛び抜けたレギュラーがあまりいない。AKB48みたいな、“手の届きそうなレギュラー”という立ち位置なので(笑)、逆にみんなが勝負できるんじゃないかと。全員がゲームに入って、『この場面はオレだ!』と思って行ってくれる。こいつがチームを引っ張っている、と目に見えるリーダーがいなくて、昨日は誰、今日は誰、と毎試合日替わりヒーローが出てくる。今年はそういうチームなんだろうなと思っています」

 1年生の頃から4番を務めてきた徳丸天晴や、主将の宮坂が打線の柱だが、あまり前に出て引っ張るタイプではない。

 だからこそ、「松川君、小園君のような本当の軸があるというのは、ちょっとまぶしく見えていました」と中谷監督は言う。

 そのまぶしく輝くバッテリーを泥臭く攻略した智弁和歌山が、甲子園に帰ってくる。

 2019年の、奥川恭伸(現・ヤクルト)擁する星稜との延長14回の激闘以来の甲子園(昨夏の交流試合を除けば)。時代に合わせて表情を変えつつある伝統校が、今年はどんな熱い夏を見せてくれるだろうか。

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