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萩原智子が振り返る東京五輪…大橋2冠、本多への“絶叫エール”「五輪は速さだけでなく“強さ”が必要です」
 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byAsami Enomoto/JMPA

posted2021/08/08 11:01

萩原智子が振り返る東京五輪…大橋2冠、本多への“絶叫エール”「五輪は速さだけでなく“強さ”が必要です」<Number Web> photograph by Asami Enomoto/JMPA

東京五輪に出場した日本競泳陣の集合写真

――厳しい戦いが続いた中でも最終日の400mメドレーリレーでは、男女ともに決勝に残りました(男子は6位、女子は8位)。男子は日本新を記録(3分29秒91)。これからにつながる結果になったのでは?

 もし決勝まで残れなかったら、今後の水泳界はどうなるのか、という緊迫した状況だったので、確かに希望の光ではありました。特にメドレーリレーは花形種目ですから。

 男子の日本新記録は素晴らしかった。ただ、以前はメダルを獲れていた種目なので、「最後に日本新でよかった」で終わってはいけないと思うし、メドレーリレーに出た選手や、出られる可能性があった同じ種目の選手たちがどう感じたか。それがすごく大事だと思います。

 男子の結果を見れば、3位から6位のチームはすべて3分29秒台で、それほど差がないのも確かなんです。ここからどう検証していくかがとても大事。競泳界全体では毎年、全国コーチ研修会が行われ、日本代表チームのコーチがその年の国際大会で活躍した選手がどんな練習をしたか、予選でこんな声をかけ、こういうプランで決勝を泳いだ、とより具体的に情報を出しています。中高生からナショナルチームまで、幅広い世代で情報を共有することが今後も大切になってくると思います。

オリンピック解説で気づいたこと

――これまでさまざまな立場で五輪に関わってきた萩原さんにとって「オリンピック」はどんな大会でしょうか? また今回、初めて“解説”を務める中で見えたこと、感じたことはありましたか?

 個人的には、結果が出ても出なくても一生懸命な選手を応援するのが好きなんだ、と改めて感じました。メダリストはほんのひと握り。もちろんそれは素晴らしいことですが、メダルには届かなかった、4位や5位で悔しい思いを味わった選手もみんな勝ちたくて、一生懸命やったことは変わらないんですよね。結果が全ての世界ですから、メダリストに比べるとスポットは当たらない。自分もそういう立場でもあったせいか、どうしてもそういう選手に目が行ってしまうんです。

 今大会の競泳種目は、個人での世界新記録は2つ。若い選手の台頭も目覚ましかった。そんな中で印象に残ったのが、100m平泳ぎの絶対女王と言われたリリー・キング選手の行動です。同じアメリカの17歳リディア・ジャコビー選手(金メダル)に敗れたものの、すぐ彼女のもとへ行って称えていました。また、女子1500m自由形で金メダルを獲得したアメリカのキャスリーン・レデッキー選手が、自分が勝ったこと以上に、2位に20歳エリカ・サリバン選手(アメリカ)が入ったことを大喜びする姿にも感動しました。

 こんな素晴らしい選手たちの戦いを見られて純粋によかったと思いますし、オリンピック選手はやっぱりかっこいいな、と。そんな姿を最後まで伝えるべく、8日の閉会式はラジオで解説を担当させていただくことになりました。もっと競泳ファン、スポーツファンの方々に、わかりやすく楽しんでもらえるような解説ができるように、私自身ももっと勉強しないといけないですね。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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