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「従来の日本式の判定に」「肉親でも会うことは…」日本柔道躍進と“バブル方式”五輪、他国視点でどう感じた? ブラジル男子監督の日本人女性に聞く
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byJIJI PRESS
posted2021/08/04 17:02
藤井裕子監督のもとで銅メダルを獲得したカルグニン(右端)
藤井監督:とても集中していて、現時点での実力をすべて発揮してくれたと思います。まだ23歳と若いので、3年後のパリ五輪がさらに楽しみです。
――試合後、ブラジルのテレビではカルグニンと藤井監督が嬉し泣きをしながら固く抱き合っているシーンが繰り返し流れていました。
藤井監督:ちょっと気恥ずかしいですね(笑)。
――その他の選手と、準々決勝でオランダに2-4で敗れた男女混合団体については?
藤井監督:ラファエル・シルバも彼なりによく頑張ったと思いますが、故障もあったりして、十分な練習ができなかったのかもしれません。私がもっと彼を助けてあげるべきだったと思います。彼以外の選手も、練習不足なり経験不足が響いた感じがします。男女混合団体は、悔しいですが、これが現在の実力です。
日本に到着してからは毎日ウイルス検査を
――監督として五輪全日程を終えて、今の心境は?
藤井監督:緊張の日々が続いたので、頭がボーッとしています。疲れました。
――大会前の時点に遡って話を聞かせてください。ブラジル柔道男子は、7月10日、羽田空港へ到着。新型コロナウイルスの検査を受けて全員の陰性が確認され、五輪前の事前合宿を張る浜松へ移動しました。浜松では、予定していたような練習はできたのでしょうか?
藤井監督:以前にも使用した練習施設を使ったのですが、今回はウイルス感染のリスクを避けるため練習相手をしてくれる選手も私たちの世話をしてくれるボランティアの人も少なかった。
ただ、そのような状況は他国も同じだったはず。ブラジルから連れていった練習相手と、まずまずの調整ができたと思います。
日本へ到着してから毎日、ウイルス検査をしました。試合を控えて減量している選手の中には、検査に必要な唾液がなかなか出ず、苦労していた者もいました。でも、結果的にブラジル柔道代表チームとその関係者からは1人の陽性者も出なかった。この点は、非常に幸いでした。
選手村にはほとんど練習施設がないので……
――選手村の部屋の居心地、食事などについて、選手の評判は?