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橋本大輝は“高校3年生で体操シニア優勝”に輝いた超特大の才能… メンタル、戦略など“5つの凄さ”とは〈個人総合金〉
posted2021/07/29 11:03
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
YUTAKA/AFLO SPORTS
どうやら彼は“スーパー高校生”という領域を瞬く間に通過してしまったようだ。
2013、2014年の白井健三に続く史上2人目の高校生代表として10月の世界体操選手権に出場した橋本大輝(市立船橋高校3年)が、11月8日に群馬・高崎アリーナで開催された個人総合スーパーファイナルで、世界選手権代表の萱和磨、谷川航、谷川翔を抑えてシニアの初タイトルを獲得した。
出場選手で唯一人の86点台となる86.031点をマーク。東京五輪代表を最短ルートで決める可能性のある2020年ワールドカップ(W杯)シリーズへの出場権を手にした。
世界選手権で合計20演技をした萱や、ケガを押して世界選手権を戦った谷川航、翔はコンディションが整っていなかった。それにしても今春までノーマークだった高校生が、誰もが目の色を変えてつかみに行ったW杯出場権を1番で手にするとは、驚くばかりだ。
橋本のすごさはどこにあるのか。スーパーファイナルで見えたポイントを整理する。
その1:戦略を立てて冷静に遂行する胆力。
スーパーファイナルで強化関係者やコーチ陣をあっと言わせたのが、最終種目の鉄棒でそれまで試合でやったことのない離れ技の連続を入れて逆転優勝をつかみ取ったことだった。
今回のスーパーファイナルは、リオデジャネイロ五輪後に世界の2強に躍り出たロシア、中国に追いつくため、日本勢の課題である演技の難度向上を目指し、6種目の合計Dスコア(演技価値点)が35点に達しなかった場合は、得点から0.5点を引くという特別ルールを設けて行なわれた。
技の大半を高校生になってから習得したという橋本にとって、この35点という構成はかなり厳しいハードルだった。