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J3最下位→J2昇格→昨季前半戦首位→今季J2で18位…“活躍した選手を引き抜かれる”ギラヴァンツ小林伸二監督の苦悩と理想の筋道
posted2021/06/30 17:00
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph by
Eijinho Yoshizaki
小さなクラブの苦悩。これを痛いほど感じる時になっている。
激しい起伏。
2018年J3最下位、2019年J3優勝、2020年J2前半戦を首位ターン。そして今はJ2で20節にして18位。
J2ギラヴァンツ北九州の姿が昨年とは大きく変わっている。
1年前の折り返し時点では、昇格したばかりのJ2で首位を走っていた。
しかし今季はここまで4勝6分10敗だ(6月28日現在)。シーズンは半分以上残っているとはいえ、J3降格圏を出入りする位置を彷徨っている。19節ではその時点で同じく降格圏にいた愛媛FCにホームで0-2で敗れ危機感が高まった。
直近に行われた6月26日ジェフ千葉戦ではシュート数4-14と劣勢のなか、スコアレスドローに終わった。試合後、小林伸二監督はこう口にした。
「点を取れれば、勝てるというところまで来ています」
チームを作り直す、という事態に陥っているのだ。
個人能力が勝る相手にも「特殊」なプレスで
昨シーズンは後半戦に失速したものの、大躍進を遂げた。2020年12月20日の最終節後、シーズンで6ゴールを挙げたFW鈴木国友(現松本山雅FC)がこう話していた。
「シーズン前半戦はプレスのかけ方が特殊で、それが通じていた。シーズン後半はそこが通じなくなった」
鈴木のいう「特殊」とは、こういうことだ。まずは1列目たるFWがハイプレッシャーをかける。ここでボールを奪えなければ、2列目の選手はボールをキープする相手選手を見ながら、パスコースにいる相手選手の間に立ち、ボールを誘導。その後ろの選手が強く奪いに行く。
どんなに個人能力が勝る相手に対しても、この姿勢で挑んだ。