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「五輪の1年前から生理が完全に止まっていました」女性アスリートが告白する過去の失敗《無月経でとった金メダル》 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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posted2021/07/15 11:01

「五輪の1年前から生理が完全に止まっていました」女性アスリートが告白する過去の失敗《無月経でとった金メダル》<Number Web> photograph by JMPA

12年ロンドン五輪レスリング48kg級決勝。小原日登美さんは悲願の金メダルを獲得

「中学1年で初潮が来たのですが、生理の周期はいつも不規則。高校に入る頃には“もっと体を絞れば強くなれる”と過度な減量もしてしまい、数か月生理が止まるのは当たり前でした」

 心配した母親から「すぐ病院に行かなければダメ」と促され婦人科を受診すると、排卵が起きていないため「将来妊娠を希望してもできないかもしれない」と告げられ、通常の生理を起こすべく、ホルモン剤などを服用した。20歳を過ぎて体脂肪率が20%を超え始めると自然に生理が来るようになったが、長くは続かない。

無月経でとった金メダル

 そもそも小原さんの現役時代、世界選手権で7階級が実施されるのに対し、五輸は4階級。51kg級で6度世界を制した絶対王者の小原さんも、五輸には48kg級で出場しなければならなかった。食事量を調節して減量しながらも、パワーを維持するべく筋肉量は増やした結果、体脂肪率は1ケタに。鋼のような体で強さを発揮する一方、ロンドン五輸の1年前から生理は完全に止まっていた。

「オリンピック前に病院へ行ったら『ホルモンの数値が閉経した状態です』と言われました。妊娠を望んでも難しいかもしれないと不安に思ったけれど、今ホルモンを補充したら体重が増えるし、競技に影響が生じる。オリンピックで金メダルを獲ることがすべてだったので、他の選択肢はない。レスリングを辞めて、体重が増えれば生理も戻るだろうから、今はこの(無月経の)ままでいい、としか考えていませんでした」

 ロンドン五輪で念願だった金メダルを獲得し、引退後に治療を開始。塗り薬や服薬でホルモンを補充したり、排卵誘発剤で排卵を促すも、生理はなかなか戻らなかった。「金メダルのためにやってきたことが間違いだったんじゃないか」と悔やみ、妊娠を諦めかけたこともあったが、14年に長男、16年に長女が誕生。二児の母となった今、改めて「知ること」の重要性を説く。

「今は(トップアスリ―トがトレーニングを行う)国立スポーツ科学センターに婦人科の先生もいます。当時の自分にもっと知識があれば、生理を止めずに減量する方法もあったはず。将来はもちろん健康面から考えても、私のように生理が止まることを放っておくのではなく、医師に相談するなど、ベストな方法を見つけてほしいです」

 現役選手時の無月経や生理不順を軽視すれば、時に人生設計すら脅かす。前述の小原さんのように将来の妊娠、出産を望むなら生理は不可欠要素であるのは言うまでもないが、重々理解したうえであえて「止めた」選手もいる。女子サッカーなでしこリーグー部のスフィーダ世田谷のMF、下山田志帆選手だ。

 19年に同性のパートナーがいることを公表し、LGBTQの当事者であることをカミングアウトした。

※記事全文では、下山田選手のインタビューと「生理のつらさは正直わからない」と語るスフィーダ世田谷の男性指導者・川邊健一さんのコメントが掲載されています。全文は発売中の「週刊文春WOMAN vol.10(2021年 夏号)」にて掲載。

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