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【阪神】甲子園に帰ってきた鳥谷敬と能見篤史…「この世界は結果だぞ!」若虎たちに背中で伝えたメッセージとは
text by
豊島和男Kazuo Toyoshima
photograph byKYODO
posted2021/06/17 11:04
「代打・鳥谷」のコールで大きな拍手に包まれた甲子園。ロッテ鳥谷敬はタイムリーを放ち、一塁上で珍しく叫んだ
能見は鳥谷が去った1年後の20年オフに阪神を退団。鳥谷敬とは阪神の在籍年数、生え抜き、自由獲得枠など共通点も多い。何より多くを語らず背中で引っ張るタイプが同じだった。試合展開や状況が異なってもマウンド上では表情を一切変えない。球団OBからは「鉄仮面」と呼ばれることもあった。
常に冷静沈着で寡黙な大ベテランの姿は新天地でも決して変わることはなかった。オリックスでは投手コーチ兼任の立場となったものの阪神時代と同じ「能見篤史」のままだった。
「能見もいろんな思いで、絶対打たせるもんかという思いで今日も静かな中でそういう気持ちを持って投球してきたと思う。いつもどんな状況でも、どんな場面でも変わらない。能見の姿は変わらず今日もありました」
現役時代はバッテリーを組んでいた矢野燿大監督も認めた。
矢野と能見。また、能見と梅野。別々のチームとなった今でも心の底でつながっている部分はある。矢野監督が絶賛すれば、梅野は三振を奪われた瞬間にマウンドに向かってヘルメットのつばを左手で触った。「ありがとうございました」。そう心の中でつぶやいたのかもしれない。
背中で語ってきた2人からのメッセージ
阪神で一時代を築いた投打のベテランは阪神を去った。世代交代が進められた現在は若手中心のチームへと変貌。ただ、生え抜きのスターが阪神に残したものはたくさんある。
「この世界は結果だぞ!」
大きな背中で語ってきた2人が退団後、初めてとなった交流戦で後輩たちに送った無言のメッセージ。
能見は5月28日で42歳となった。鳥谷は6月26日で40歳。プロ入り後から第一線で結果を出し続ける姿、そして変わらないその姿を阪神の未来を担う若虎たちは必ず見ていたはずだ。
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