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佐藤寿人が語る“解説者”という仕事の難しさ「今は見たい、知りたいという気持ちの方が強い」今は入浴中もずっとサッカー観戦?
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byAsami Enomoto
posted2021/06/15 11:01
解説者として試合に向き合うことで新たな発見があったと語る佐藤寿人。育成にも携わりながら、サッカーへの知見をさらに深めていく
解説席につくまで、選手の技術的、フィジカル的な特徴はもちろん、人間性などもある程度把握するなど準備は決して怠らない。
世界の各リーグの選手のプレーを分析できる画期的なオンラインサービス『Wyscout』を駆使し、試合におけるトラッキングデータやリーグのデータ、個人の特徴を把握できる動画を確認。いろいろな選手を理解するのに重宝しているという。
また、ハーフタイムには中継社から提供されるデータを最大限に利用し、自分なりに分かりやすい言葉で伝えることを心掛けている。
中継後は反省する日々
これまで現役時代にもオフを利用して解説をすることはあったが、本格的に始めたのは今年が最初。解説を行った後は反省することもまだまだ多い。
「自分のなかでフラットに話をしているつもりでも、良いサッカーをしているチームのことを話すことが多くなってしまう。もちろん、うまくいっていないチームの方もなぜうまくいっていないのかをかみ砕いて伝えなければいけない。そのバランスが難しいところですね。言葉のチョイスも気を付けなければなりません。
Jリーグで長くプレーしてきて少なからず各クラブの背景も理解できていますが、海外に関しては、僕自身もこれまで一視聴者として見てきただけなので、すべてがすべて深く落とし込めているわけではない。そこはまだまだ難しいと感じている部分でもありますね」
さらに実況と解説のバランスは、佐藤が注意を払う点の1つだ。
「アタッキングサイドは実況の方が一番テンションをかけやすいところで、選手がゴール前に侵入するほど、言葉を発したくなるものです。実際、一視聴者としてゴール前での感情が入った実況は好きですし、そこはある程度、実況の方にお任せしています。
ただ、それ以外のエリアで話をしているうちに選手がアタッキングサイドに侵入していることがあって。そうなると話が一度そこで途切れてしまう。これまで何度もそういう場面がありました(笑)。なるべく言いたいことを簡潔に、とはいえ浅くなく……と心掛けていますが、実際、まだまだそこに関しては反省することが多いですね」