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丸山茂樹が語る松山英樹のマスターズ優勝を決めた1打とは?「表彰式を終えた本人から電話がかかってきて…」

posted2021/04/15 17:03

 
丸山茂樹が語る松山英樹のマスターズ優勝を決めた1打とは?「表彰式を終えた本人から電話がかかってきて…」<Number Web> photograph by Getty Images

マスターズ表彰式後に松山から電話があったという丸山。2人の関係は2013年セガサミーカップから始まったという

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雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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85年の歴史で、アジア人として初めてマスターズを制した松山英樹。これまで多くの先人たちが阻まれてきた高い壁を超えて、グリーンジャケットに袖を通した。自身も11回の出場を誇り(最高位は2002年の14位タイ)、若手時代から松山の成長を見守ってきた丸山茂樹に、その思いを聞いた。

 こんな偉業を、そして歴史的瞬間を、生きている間に見られるとは思っていませんでした。本当に途轍もないことをしてくれた。感動でいっぱいです。

 表彰式で英樹が両手を挙げて喜んでいる笑顔を見たら泣けてきましたよ。あれが本当の英樹の笑顔ですもん。世間の人は英樹のあんな笑顔をあまり見たことがないと思いますが、一緒に食事している時も、酔っぱらっているときもああいう顔をするんです。年齢的にも親心に近いものを彼には感じてしまいますね。

 そうこうしているうちに表彰式を終えた本人から電話がかかってきたんです。「ありがとうございます。やりました!」と言われて、電話を切るときに画面を見たら2分17秒も話したみたいなんですが、一体何をそんなに話したのか。すっかり気持ちが高ぶっていて……。話し終えた瞬間にまた涙があふれてきました。

「アプローチを教えてください」

 英樹との出会いは彼がプロに転向した2013年、7月の国内ツアー「セガサミーカップ」でした。開幕前々日に練習ラウンドをしたんです。「アプローチを教えてください」と彼の方から来てくれて、僕は9ホールで切り上げるつもりが、結局18ホール一緒に回ったんですよ。

 ことアプローチに関して言えば、世界アマチュアランキングにふさわしい技術レベルだったかと言えば、少し疑問符が付きます。ただし、ショット力は抜群のものがあって、小技がうまくなったら無敵だなと感じたものです。実際にそこからぐんぐんアプローチもうまくなっていった。いろいろなところから吸収して足りないところを補い、大きなパワーに結びつける能力がすごく高かった。

 昨年末までコーチをつけてこなかったのも、そんな彼の特性が1つの要因でしょう。いろいろな人に意見を聞くのはタダですからね。それで自分がいいと思えば取り入れればいいし、おかしいなと思えば取り除けばいい。コーチからの一方通行でやっていないんです。きっと今の目澤秀憲コーチとの関係性もそういうものだと思います。

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