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松井大輔39歳が語る“同世代の引退”と“年齢という敵”「カズさんがいなければ、とっくに引退している」
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2021/03/28 11:03
松井大輔が慕う三浦知良との2ショット
「サッカー選手には対戦相手やライバルとなるチームメイトだけじゃなくて、たくさんの敵がいる。年齢を重ねることで、さらにその敵が増えていく。世間の眼もそうだし、なにより怪我との戦いも入ってくる。そういう敵とどうやって戦うのか。その術をカズさんから学んだ。足をはじめとした身体のケアから、食事や休息のとり方まで、何をしなくちゃいけないのか。カズさんはずっと探求し続けている。そんな姿を僕も見続けてきた。本当に勉強になったし、カズさんがいなかったら、僕は怪我をしてサッカーができなくなっていたと思うよ、本当に」
「カズさんとの出会いがなければ、とっくに現役引退している」とも話す松井だが、サッカーをやめようと思ったことがあるということだろうか?
W杯が終わった後は「『もういいかな』って」
「ワールドカップ(2010年南アフリカ大会)が終わった後は、『もうサッカーはいいな』って思ったかな。30くらいでやめるかなって思っていたし、もうやり切った感があった。駒野(友一)がPKを外すしね(笑)」
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ワールドカップで活躍し、強豪クラブへ移籍し、キャリアのステップアップを考えるのは松井だけではないだろう。20代後半、選手としての脂がのった時期ならなおさらだ。ポルトガルの強豪スポルティング・リスボンへの移籍は、可能性があったものの実現には至らず、ロシア・トムトムスクへレンタル移籍した松井が抱えた傷心は、簡単に想像がつく。
「そのあとは、サッカーというよりかは、人生を楽しんでいた感じがする。ヨーロッパにいて、ヨーロッパのサッカーを体験して、いろんな地域を回って」
こうして海外のクラブを渡り歩き続けて10年。2014年にジュビロ磐田に加入し、日本に戻った。
年齢ではなく「挑戦したいことがあれば続けられる」
「自分が求められていることがうれしかった。日本へ帰ってきて、J2からJ1へ上げるという目標も生まれました。人間は目標があれば、それに向かって走ることができる。挑戦したいことがあれば続けられる。そんなふうにやっていくうちに年齢が上がり、だんだん年齢不詳になって、自分の年齢がわからなくなった(笑)。そのうえカズさんもいて、俊さんもいるから。なんか、自分がどこにいるのかもわからなくなってきたなあ(笑)」