Jをめぐる冒険BACK NUMBER
柿谷曜一朗をどう生かす? 齋藤学&長澤和輝ら大型補強の名古屋、マッシモ監督が試す策は…【開幕予想布陣つき】
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAtsushi Iio
posted2021/02/13 06:00
柿谷曜一朗や齋藤学らが加わったグランパス。マッシモ・フィッカデンティ監督はどんな布陣を作るか
もとよりブロック守備には秀でたチームだ。20年シーズンのリーグ戦34試合で喫した失点はわずか28。リーグ最少失点だった。その守備力をさらに向上させ、攻撃に繋げるために、昨季いったん諦めたハイプレスに今季、再びトライするようだ。
さまざまな化学反応を確認している指揮官だが、テストは前線の組み合わせに留まらない。9日の八戸戦では、柿谷をトップ下で起用する新布陣にもトライした。
この起用法は練習でも試したことがなく、思うようには機能しなかった。これまでトップ下を務めていた阿部やガブリエル・シャビエルがベンチスタートとなったため、タメやリズムが生まれず、攻撃が単調になりがちだったのだ。それでも1トップを務めた山﨑は1得点1アシストと結果を残したが、柿谷は見せ場を作れなかった。
復帰すれば金崎とのデュオも面白いのでは
しかし、だからといって、柿谷のトップ下を諦めてしまうのはまだ早い。
例えば、サイドに阿部かシャビエルを起用すれば、サイドアタッカーのスピードを生かした現在のスタイルとは異なる戦い方を手に入れられるはずなのだ。
負傷離脱中の金崎夢生が6月頃に復帰することを考えても、柿谷のトップ下起用は捨てがたい。このデュオは相手にとって脅威でしかなく、金崎と柿谷を2トップで起用してもいいだろう。
今季の名古屋は“2チーム”作れる戦力
いずれにしても、魅惑のアタッカー陣を中心に、今季の名古屋が2チームを作れるだけの戦力を保有しているのは間違いない。
ボランチは堅守の中心だった稲垣祥と米本拓司のコンビに、浦和レッズから長澤和輝が加わった。センターバックでは丸山祐市、中谷進之介の鉄板コンビの間に、セレッソ大阪から加入した木本恭生が割って入ろうとしている。
吉田豊と成瀬竣平が健在なサイドバックでは、ケガからの完全復活に懸ける宮原和也と、サガン鳥栖から加入し両サイドをこなす23歳の森下龍矢がポジション奪取に挑む。
さらに、ユースから昇格3年目、対人に強いセンターバックの藤井陽也や、大卒ルーキーで技巧派のMF児玉駿斗も決して長くない出場時間のなかで自身の特長を発揮し、猛アピール中だ。