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八村塁「バスケ漬けにならないと…」18日ぶりの実戦復帰後に見せた“今まで一度もなかった意外な姿”とは?
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2021/02/02 17:01
1月29日、18日ぶりの復帰戦に臨んだ八村だったが、開始からリズムに悪くいまひとつに終わった
ウィザーズは100-116でホークスに大敗。4連敗となったゲームの翌日、八村は明らかに落胆を感じさせる表情でそう述べていた。
ダービス・ベルターンス、モリッツ・バグナーとともに復帰したが、ここまで3勝12敗と低迷するチームを救えなかった。ただ、ここで感じていたフラストレーションは、復帰初戦に敗れたことだけに起因するものではなかったようだ。普段、会見ではポジティブな言葉が多い八村だが、約2週間の自主隔離の日々を振り返った際には「フィジカル的にもメンタル的にもシーズンの状態を保つのがすごく大変だった」と正直な思いを吐露した。
ウィザーズ内にクラスターが発生したおかげで、チームの機能が一時的に停止した。NBAが定める様々なルールでがんじがらめになった現状では、思う存分、練習をすることすら叶わない。自由に体育館を使うことはできず、ルーティーンも作れず、難しい時間を余儀なくされてきた。特に今季の八村は開幕前に結膜炎で離脱するという不運を経験し、復帰してもわずか7戦で再び離脱となったのだから、心身両面で良い流れができていないのは仕方なかったのだろう。
リーグ内でも最大の被害を受けたウィザーズ
「チームとして全然練習できなかったですし、僕もしていない。僕にも、チームにも、大変な2週間だったと思います」
NBA選手に限らず、プロアスリートは“ルーティーンの産物”と呼ばれる。最適な習慣を見つけ、定着させることで、最大限の力を安定して発揮できるようになっていく。しかしコロナ禍によって、それらはほとんど不可能になった。
もちろんすべてのチームが同じ条件ではあるが、中でもウィザーズは今季、ラッセル・ウェストブルック、ロビン・ロペス、デニ・アブディヤといった新戦力を加えながら、一緒に練習する時間の確保がままならなかった。多くの試合が延期になったことも含め、リーグ内でも最大級の被害を被ってきた。
様々な混乱の中で、2020~21シーズンは続いていく。31日のブルックリン・ネッツ戦では久々の勝利を挙げた後でも、ウィザーズは依然としてイースタン・カンファレンスの最下位。このまま低迷が終わらなければ、リーグ内で引く手数多のエース、ブラッドリー・ビールのトレード話も盛んになりかねない。そうなればさらに厳しい状況になるだけに、八村の言葉通り、早期のケミストリー構築は必須だろう。そのために、どうやってチーム、個人の練習時間を確保するかが一番の課題かもしれない。
これまで一度も見たことがなかった“ある光景”
29日のホークス戦後、復帰戦で約24分をプレーしたばかりにもかかわらず、八村はゲーム後に再びキャピタル・ワン・アリーナのコートに現れた。そこから約25分にわたってかなりハードなシュート練習を継続。アシスタントコーチのサポートを受け、ドライビングダンク、ロングジャンパーを繰り返し放っていた。ウィザーズの日本語公式サイトによると、2日後のネッツ戦後にも居残り練習を行ったという。