ファイターズ広報、記す。BACK NUMBER
日本ハム広報が明かす「育成ドラフト」 チーム第一号、来季が最終年の“エビちゃん”に本音を聞くと…
posted2020/11/30 11:40
text by
高山通史Michifumi Takayama
photograph by
Hokkaido Nippon-Ham Fighters
タイムリミットが迫り、すでに覚悟は済んでいた。大勝負へ向け、腹をくくっていた。
北海道日本ハムファイターズが球団史上初めて育成ドラフトで指名した海老原一佳選手である。
育成選手制度は2005年から導入され、契約期間は最長で3年間。2018年に育成1位で入団した海老原選手は、今シーズンで2年目を終える。来シーズン中に公式戦に出場可能な支配下選手登録されなかった場合には来オフに一度、自由契約になる。残り1年になった。
首脳陣、チームメートたちから「エビちゃん」と呼ばれている。その愛称にミスマッチな189センチ、96キロの堂々とした体躯を誇る。左の長距離砲で、外野手。創価高―創価大を経て、BCリーグの富山GRNサンダーバーズで活躍。18年の入団テストでアピールし、チーム初の育成ドラフト指名選手というパイオニアになった。
「失うものはないので」
11月。秋季教育リーグのフェニックス・リーグに、若手とともに不退転の決意で参戦している。表舞台の日本シリーズでは、福岡ソフトバンクホークスの千賀滉大選手と甲斐拓也選手、周東佑京選手ら育成出身の先輩たちが活躍をしていた。チームは違うが、希望の光となる存在である。
1つの区切りとなる2021年へ向け、すがすがしいほど潔かった。
「捨て身というか、失うものはないので。一軍の戦力として認められなければ、支配下にはなれない。それが、チームの考えだと分かっているので」