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根拠はある? IOCバッハ会長「東京五輪、開催を確信」 関係者、選手たちはどう読み取ったのか
posted2020/11/29 11:01
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
ただただ不思議な感覚が、違和感があった。
先日の、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長来日である。
そもそも、コロナ禍にある今日の世界情勢のもとで来日することに、疑問、懸念の声があった。
菅義偉首相や小池百合子都知事らとの会談、東京五輪の運営に関する意見交換、選手村や国立競技場の視察などのためとされていたが、このタイミングで来日しなければならないものなのかと捉えられたからだ。
会長はチャーター機を使い、マスクの種類も含め感染リスクに相当神経を払っているようだったが、滞在中の言葉もまた、違和感を与えた。
「妥当な数の観客を入れられると思います」
例えば、大会の組織委員会は開会式の規模縮小を打ち出していた。入場行進の人数を従来より最大75%削減する案がそれだ。
行進する前、選手たちが待機する場所は密集しやすい。その回避も狙いにあったが、IOCは「伝統は変えたくない」と従来の方式を主張し、意見がぶつかっていた。
来日したバッハ会長も「選手の大きな経験を担保するセレモニーに」と、削減案に消極的な姿勢を見せた。
無観客での実施もあり得るのではないかとされてきた件についても、「妥当な数の観客を入れられると思います」と語った。
数々の発言は、来年の夏に大会が開催されることにいっさいの疑念がないかのようだった。
象徴するのが次の言葉だ。