情熱のセカンドキャリアBACK NUMBER
西武から戦力外通告→クリケット選手に 40歳木村昇吾の夢は「10億円プレーヤーになる!」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2020/11/25 17:00
木村は2003年、横浜ベイスターズ入団。広島を経て西武に移籍。2017年に戦力外通告を受けて引退、クリケットの道へ
昨年夏にはスリランカの名門へ
ワイヴァーンズや日本代表で活躍するだけでは、IPLには届かない。
2018年6月には単身でオーストラリアへ武者修行に出向き、昨年夏にはスリランカの名門「シンハラスポーツクラブ」が練習生として受け入れてくれた。目に見える形で上達していき、クリケットに懸ける姿勢も高く評価されて2020年からはチームの一員に迎えてもらうことになった。
二軍ないしは三軍チームからのスタートにはなるものの、活躍できれば一軍で出場することも見えてくる。実際、チームにはIPLでプレーしている選手もいる。クリケットを始めて2年でIPLプレーヤーになることはまったくの絵空事ではないのだという水準まで自分を引き上げていった。
40歳になる2020年、夢への距離を一気に縮めていくつもりだった。
「ショウゴはプロ野球でやっていたのか」
シーズン前の2月にスリランカに渡って、チームの一軍の練習に参加させてもらった。IPLでプレーする選手からアドバイスをもらえたことも大きかった。トップ選手のテクニックを見るだけで勉強になった。
週2回の全体練習では当然飽き足らず、クラブ内でやっているジュニアのトレーニングなどにも加わった。「毎日グラウンドにいる状態」を続け、時間があればトレーニングジムで体づくりも怠らない。施設近くにアパートを借りて、クリケットだけに専念できるようにした。
「クリケットをやるなら世界最高クラスの環境だと思います。スリランカは親日家が多くて、向こうのトップ選手も『ショウゴはプロ野球でやっていたのか』とリスペクトを持って接してくれました。
練習以外でもシンハラのグラウンドは国際大会の会場にもなっているので、よく試合を見ることができました。毎日が充実していて、さあもう少しでシーズンが始まるぞってところでスリランカにも新型コロナが襲ってきたんです」