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天皇賞・秋、クロノジェネシスがアーモンドアイに挑む! 鞍上・北村友一が狙う“あのシーン”の再現
posted2020/11/01 06:02
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph by
Kyodo News
6馬身差の圧勝劇を見せた宝塚記念。牝馬が席巻した春の古馬戦線にあって堂々の主役を張った女傑が、秋の盾で史上最多のGI8勝目を狙う1つ年上の名牝アーモンドアイと初めて顔を合わせる。偉業達成を阻み、世代交代を果たす舞台は整った。決戦を控える陣営に話を聞いた。
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コロナ禍には息苦しさを押しつけられてばかりだが、唯一いい作用があるとすれば、日本のGIレースの充実があげられるのかもしれない。トップホースのレース選択肢から、海外遠征がその外に追いやられたことで、この秋競馬は例年をはるかに上回る重厚な顔ぶれとなる。11月1日、東京競馬場の芝2000mで行われる天皇賞・秋に名乗りをあげたGI馬は7頭と豪華そのものだ。
GI7勝の名牝アーモンドアイ(牝5歳、父ロードカナロア、美浦・国枝栄厩舎)をはじめ、宝塚記念を制したクロノジェネシス(牝4歳、父バゴ、栗東・斉藤崇史厩舎)、天皇賞春秋連覇を狙うフィエールマン(牡5歳、父ディープインパクト、美浦・手塚貴久厩舎)、昨年同レース2着のダノンプレミアム(牡5歳、父ディープインパクト、栗東・中内田充正厩舎)、武豊を背に一時の不振から完全に脱却した感のあるキセキ(牡6歳、父ルーラーシップ、栗東・角居勝彦厩舎)、海外GI2勝のウインブライト(牡6歳、父ステイゴールド、美浦・畠山吉宏厩舎)、そして一昨年の有馬記念馬ブラストワンピース(牡5歳、父ハービンジャー、美浦・大竹正博厩舎)だ。GI馬以外にも昨年のダービー2着馬ダノンキングリー(牡4歳、父ディープインパクト、美浦・萩原清厩舎)らがいる。
名馬たちが皆7勝にとどまっている不思議
1番人気に支持されるのは間違いなくアーモンドアイ。ここを勝てば史上最多のGI8勝目となるのだが、幾多の名馬がこの壁を破れなかったというのも、耐用年数のような微妙な理由がありそうな気がしてならない。7勝をあげた先輩たちの名は、古い順にシンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクト、ウオッカ、ジェンティルドンナ、キタサンブラック。余力を残して引退した馬ももちろんいるはずだが、これほどのビッグネームたちが揃いも揃って7勝にとどまったというのも、どこか不思議な話ではないか。
今春ヴィクトリアマイルを圧勝してGI7勝目に楽々と到達したアーモンドアイほどの傑出した馬でも、続く安田記念はグランアレグリアに意外なまでの完敗を喫して、新記録達成を足踏みさせられている。この最高の舞台で未踏の頂に立って見せることができれば、その輝きは不滅のものとなるはずだが、予断は決して許されない。