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アーモンドアイ、天皇賞・秋連覇への不安要素は? 国枝調教師に聞く「あとはルメちゃんに…」
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2020/10/30 17:06
昨年3月、ドバイターフ(GI)を単勝1.2倍の1番人気に応えて制したアーモンドアイ
あとはルメちゃんに任せるだけ
9番に決まった枠順。昨年の有馬記念と同じ枠番ですが? とあえて重箱の隅を楊枝でほじくるように、意地悪な質問を投げかけてみた。グランプリの敗因がこの枠順にあったわけではないし、今さらゲート番がどうこうするレベルの馬ではない事を百も承知した上での問いに、指揮官は苦笑しながらも丁寧に応えてくれた。
「有馬記念と同じだって? 嫌なこと言うなぁ。まぁ、一般的に後入れの偶数番が良いとか色々言うけど、今回はフルゲートでもない(12頭立て)し、どの枠が良いとか、どの枠だと嫌とかはありませんよ」
聞けば聞くほど不安の要素が摘み取られていくばかりに思えるが、改めて「あえて絞り出せないか?」と聞くと、しばし黙考した後、口を開いた。
「GIだから他も皆、強い馬ばかりです。例えばクロノジェネシス好みの時計のかかる馬場になった時にどうか? とか、考え出せば心配材料は出て来ます。ただ、馬場に関しては予報を見る限り良馬場で出来そうだし、心配しても仕方のない事を考えてもどうしようもありませんからね。良い状態に仕上げて送り込んだからあとはルメちゃんに任せるだけです」
「アーモンドアイのお陰で慣れちゃいました」
実際、調教師という立場でこの人気馬を管理する事にプレッシャーを感じてはいないのか? という質問に対しても、鮮明に返答する。
「毎回1点何倍というオッズに支持される馬ですからね。普通はそんなオッズに推されても負けて不思議でないのが競馬なので、いちいちプレッシャーを感じていたら身がもたないかな。アーモンドアイのお陰でそういうのは慣れちゃいました」
この言葉を真に受ける気はない。責任を負う厩舎の長としてそれなりに感じている事はあるはずだ。しかし、JRAタイの7つの芝・GIを勝っている牝馬が、そんな重圧を四散させているのだろう。