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ドラフト当日のウラ側 「まさかの1位指名!」そのとき所属企業の広報室は…【ソフトバンク佐藤直樹の場合】
posted2020/10/26 06:00
text by
鼠入昌史Masashi Soiri
photograph by
KYODO
プロ野球のドラフト会議は、運命を左右する一大イベントだ。指名されるか否かという立場に立っている選手たちはもちろんのこと、球団の未来もこのドラフトの1日にかかっている。そしてそれは、指名されるかもしれない選手を抱える学校や企業側にとっても同じこと。特に社会人選手では所属企業は恰好のアピールチャンスにもなる。いったい、どのようにしてドラフト当日を迎えているのだろうか。昨年のドラフト会議で佐藤直樹選手がソフトバンクに1位指名されたJR西日本で主にメディア対応を担当した広島支社広報室の奥山喜文室長に聞いた。
「12球団すべてから調査票が届きました」
「ドラフトの前に各球団から候補選手に調査票が届くんです。それが届くと指名の可能性が高い、ということ。その連絡を野球部から受けまして、私たちでメディア対応などの準備を進めていきます」
ここで問題なのは指名される順位がわからないこと。上位指名か、下位指名かによって記者会見の時間も変わるし、集まるメディアの数も変わってくる。それどころか、場合によっては最後まで指名されないまま終わることもあるのだ。例えば定例の支社長記者会見のように、決まった時間にいつもの記者を相手に、とはワケが違う。
「佐藤選手の場合ですと、12球団すべてから調査票が届きました。なので、上位指名される可能性が高いだろうということで準備を進めました」
ただ、JR西日本が日常的にやり取りをしているメディアにスポーツ記者は含まれない。各支社にも記者クラブはあるが、それは基本的に野球とは無縁の記者クラブだ。そこで、地元メディアを中心に普段は付き合いの少ないメディアなどにも記者会見のリリースを出すのだとか。
「もちろんご連絡先を存じ上げていないのでこちらからは何もお伝えしていないのですが、北海道の記者さんからも記者会見についての問い合わせがありました。12球団どこから指名されるかわからないですから、各球団の担当記者の方が記者会見に来る準備をしていたということだと思います。聞けば、指名候補を想定してどこにでも行けるように待機しているらしいですね」