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【遠藤保仁ジュビロ移籍】「なぜ欧州に行かなかった?」日本代表元フィジカルコーチがヤットに驚いたワケ
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byTomoki Momozono
posted2020/10/05 11:02
日本代表にとってフィジカルというのは常に頭の痛い問題だった。そこに別角度から光を当てたイリバレンの功績は大きい。
イリバレンを驚かせた乾貴士と武藤嘉紀。
彼はフィジカル面で特に驚いた選手としてふたりの名を挙げた。
「乾貴士と武藤嘉紀です。乾はフランクフルトにまで見に行きましたが、あの俊敏性とスピード、ドリブルのキレには驚きました。一瞬の加速で切れ込んでシュートに持っていく、特異な才を持っています。エイバルでの活躍でスペインでの評価も上がっていますし、今後、リーガと日本代表でさらにステップアップできると思っています。
武藤に関しては、あれ程のフィジカルを持つ選手がJリーグではなく、大学にいたことにも驚かされました。強さもあり、スピードもある。代表にデビューさせることを、アギーレは全く迷いませんでした。初めてプレーを見たとき、アギーレと『これはすぐに欧州で活躍するな』と話したことを思い出します。これからも間違いなく伸びる素材です」
「遠藤とは10年前に知り合いたかった」
イリバレンと話す中で、意外な名前があがった。
遠藤保仁。
フィジカルというテーマにおいて、まず出てきそうにない選手である。
「ヤット・エンドー。彼はすでに34歳になっていました。当時代表に呼んでいた若手たちのようなフィジカルもインテンシティもありません。
しかし彼は、独特のリズムをもたらすことで、そのマイナスを補っていた。彼がいるかいないかで全てが変わった。走りまわることはありません。けれど彼はその頭脳で走っていたんです。
彼とは10年前に知り合いたかったですね、本当に。欧州で素晴らしいキャリアを歩めたと思います。『なぜ欧州にいかなかったのか』と、実際に彼に聞いたものです」
遠藤のようなベテランが高いレベルで長くプレーできる秘訣は、日本人のフィジカル面のケアにもあると彼はいう。日本代表合宿中、彼が目をつけたのは、選手のフィジカルと向き合う姿勢だった。
欧州では、練習後や試合後にストレッチや交代浴をしてケアをする選手は少ない。イリバレンの目に、日本人の肉体に対する高い意識は新鮮だった。