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藤井聡太棋聖へのAI形勢判定に名物棋士・橋本崇載八段「神レベルに強いということに」
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by日本将棋連盟
posted2020/09/13 18:30
今では二冠保持者として棋界を引っ張る立場となった藤井聡太棋聖(当時=写真は王位戦第1局のもの)
第61期王位戦第4局は8月19日、福岡県福岡市の「大濠公園能楽堂」にて午前9時から対局が始まり、現在3連勝中の藤井聡太棋聖(18)が史上最年少となる二冠獲得と八段昇段に向けて、木村一基王位(47)と熱戦を繰り広げている。
本局はカド番で迎えた先手番の木村王位が1分ほど考慮したのち、初手を2六歩と指すと、木村王位が得意とする「相掛かり」で進んだ。木村王位は23手目で2五飛と中段に飛車を引き、そこから29手目で1五飛と回るなど、この一局に懸ける姿勢を感じさせる指し回しを見せた。
その後は藤井棋聖が1時間27分の長考から32手目の8六飛を着手すると、木村王位も37手目を1時間8分の長考の末に8五歩と打つなどの展開ののち、42手目で藤井棋聖の封じ手となった。
「もぞもぞする」クセも見抜く。
1日目の対局を放映した「ABEMA」で、解説者として視聴者を楽しませたのが橋本崇載八段(37)だ。午前中の解説では「今日はあまり藤井くんをほめないようにしたい」と宣言したものの、気づけば藤井棋聖を称賛。
また画面上に表示されるAIによる形勢判断が「藤井棋聖45-55木村王位」となった際、橋本八段はそれまでの展開を踏まえたうえで「この形勢だとしたら(藤井棋聖は)神レベルに強いということになりますね」と評し、藤井棋聖が一手指して互角になると「(形勢を)50-50にするのを知ってるとしか思えない」とも表現していた。
そして藤井棋聖の指すタイミングについて、直前に「もぞもぞする」クセを見抜き、時に指し手までズバリ当てるなど、その観察力は抜群だった。