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トルシエがダバディに明かす日韓W杯トルコ戦の真実。「私の采配ミス」とは? 

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フローラン・ダバディ

フローラン・ダバディFlorent Dabadie

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posted2020/09/07 11:30

トルシエがダバディに明かす日韓W杯トルコ戦の真実。「私の采配ミス」とは?<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

三都主がスタメン起用され、3-4-2-1システムで臨んだトルコ戦。トルシエ監督率いる日本は宮城の地で涙をのんだ。

失点のシーンは私を筆頭に……。

フィリップ・トルシエ(以下PT):「失点は前半15分?」

――12分です。ボールはペナルティ・スポットに飛びましたが、マークの受け渡しが一瞬曖昧になりました。ナラ(楢崎正剛)も一瞬飛び出しそうでしたが、結局は下がった。オノはニアポストから押し上げたけれど、ずっとポストにいた方が良かったかもしれませんね。

PT:「違うよ。このゾーンはデュエルが優先だから、ポストにいてもいなくても構わない。あのシーンは私を筆頭に、全員の集中力が足りなかったんだよ」

――集中力?

PT:「危機感が足りなかったと言ってもいい。試合の立ち上がりは私たちのボール回しで始まっただけに、落ち着いていたと言ったでしょう? 結局はトルコを恐れていなかったことが最大の間違いだったんだ」

――トルコは国外の欧州クラブでプレーする選手が私たちよりも多いチームでした。私たちは十分に警戒していたはずです。

PT:「いいえ、君はジャーナリストのような考えをするね、そうじゃない。試合に入ってから、私たちは相手のプレッシャーをそれほど感じなかった。雨が降って、スタンドのサポーターはいつも以上に静かで、白いレインコートを着ていたね。トルコも攻めてこない中、私たちはコンフォート・ゾーンに入ったのです。精神的な疲れもあったはずだし、体は動くけれど頭とシンクロしていなかった」

いつでもスタメンを入れ替えていい、と。

――3-6-1も初めてのフォーメーションでしたね。

PT:「あれは3-4-1-2。アレックスはサイドアタッカーだった」

――2トップは、西澤のセンターフォワードにアレックスのサイドアタッカー、中田はプレーメーカーで、小野は左側にいる第2の司令塔。明神は右でバランサー、稲本と戸田は守備的MF。フラットスリーは中田浩二、宮本、松田。GK楢崎。

PT:「後半は市川、森島……」

――鈴木が入って3-5-2に戻しました。あの戦術は、トルコに合わせて考えたのですか。あるいは、日本の23人のグループを見て、競争の中から選びましたか。

PT:「どちらかというと、後者です。このチームには同レベルにある15人がいて、いつでもスタメンを入れ替えていいと確信していました。西澤もアレックス(三都主)も2000年以降、私たちの戦いに大いに貢献していました。グループリーグの戦いでは出番がなかった、もしくは限られたが、フレッシュな状態でよくやってくれると知っていました」

【次ページ】 アレックスは切り札的に使うべきだった。

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