野球善哉BACK NUMBER
プロとアマも、セとパもばらばら。
野球界の意思統一と協力体制は?
posted2020/06/02 11:40
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Hideki Sugiyama
残念、ただただ残念、その一言しか出ない。
大学選手権、夏の甲子園、プロ野球の開幕時期……。
ここ数カ月、世間を賑わせた新型コロナウイルスの影響に依る開催の可否は、高校生年代の代替大会についての判断が残っているにせよ、一応の決着を見たと言っていい。
プロ野球だけ開催に踏み切り、アマチュアの大会はおおよそが中止。その決定に異論はない。しかし、様々な会見に出席し、WEB中継の会見を見て、ニュース番組などに接しての大きな失望は、この期に及んでも野球界が1つになれないという事実だ。
5月11日の臨時12球団代表者会議後のオンライン会見で、筆者はNPBの斎藤惇コミッショナーにこう問いかけた。
「高校野球も同じように開催の可否の問題を抱えています。高校野球の場合は無観客だと収支が立ちゆかなくなるなどの問題があるが、NPBとして、高野連と連携して何かをする働きかけはあるのか」
斎藤コミッショナーの答えはNOだった。
プロアマの溝は今も深い。
「向こう側からアクションがあればやぶさかではない」という交渉の余地は見せたものの、NOの理由をこう説明している。
「なかなか難しい問題ですね。高野連さんは伝統的、歴史的に収益がらみ、企業がらみというものとは独立していく方針を厳しくとってきています。できるだけ巻き込まれないようにしていこうという方針でございましたので、今のところ高野連から相談を受けていないので、我々は静かに見守っていこうと思います」
日本の野球界には長くプロ・アマ問題というのが存在している。
アマチュアとプロはそもそもの目的や理念が異なることは理解できるが、日本の野球界は広い意味で甲子園に支えられてきたところがあるはずだ。それなのに、甲子園を開催するかどうかという時でも両者が協力できないのは残念という他ない。
もちろん、NPBだけが悪いと言いたいのではないが、未曾有のウイルス禍にあっても手を取り合えない現状は打開しなければならないのではないか。