リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
晩成FWアドゥリスの引退と名人芸。
181cmでも空中戦最強だった理由。
posted2020/06/01 18:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
新型コロナウイルスに関する諸制限を段階的に緩和しているスペインのペドロ・サンチェス首相は5月23日、「順調にいけば、6月8日から始まる週にはほとんどの地域がフェーズ2に入る」と国民に語りかけた。
フェーズ2ではプロスポーツの試合実施が認められる。つまり、リーガのハビエル・テバス会長が望む6月12日前後の再開がいよいよ可能になったわけだ。
これを受け、5月18日より10人までのグループによる練習を行ってきた1部と2部のクラブは、人数制限なしの練習を今月中に開始することになるだろう。再開前に少なくとも15日間チーム練習を行わせることを、リーガは各クラブに約束している。
ところで先日、1人のベテランが現役を退いた。
アスレティック・ビルバオのストライカー、アリツ・アドゥリスである。
現在39歳。もともと2019-20シーズン後の引退を明言していたので驚くことではないが、新型コロナウイルスのせいで残念な終幕となってしまった。
158得点のうち66%が30代以降。
アドゥリスは、アスレティックのみならずスペインサッカー界全体にとって特別な存在だったと思う。30歳を越えてからの活躍がその理由だ。
生地サンセバスティアンの名門ユースクラブ、アンティグオコでストライカーとして頭角を現した彼は、当時2部Bリーグに属していたアウレラを経てアスレティックのBチームであるビルバオ・アスレティック(2部B)に加入し、2002年9月のバルセロナ戦でトップチームデビューを果たした。
以後、引退するまでリーガ1部だけで通算158得点しているが、その約66%(104ゴール)は30代になってから決めている。
20代のシーズン最多得点はマジョルカでプレーしていた2009-10の12ゴールだけれど、31歳になってアスレティックに戻ってからは14得点、16得点、18得点と増えていき、34歳で臨んだ2015-16シーズンには20得点をあげている。