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清武弘嗣がロンドン五輪スペイン戦、
戦う前に「絶対勝てる」と思った訳。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byFIFA via Getty Images,Asami Enomoto(in the article)

posted2020/06/01 11:35

清武弘嗣がロンドン五輪スペイン戦、戦う前に「絶対勝てる」と思った訳。<Number Web> photograph by FIFA via Getty Images,Asami Enomoto(in the article)

マタやデヘアなど超一流選手がそろったスペインに1-0で勝ち、ガッツポーズを見せた清武。

「疲労」というフレーズを出さなかった。

 これまでにはあまり見られなかったミスも起こった。中2日は同条件ゆえ、理由にならないという声はあるかもしれない。だが準々決勝からずっとロンドンに滞在できたメキシコと比べると明らかに不利だと言えた。

 清武は「疲労」というフレーズを出さなかった。「俺たちが崩れてしまった」という言葉に、チームに対するプライドを感じることができた。

 結果的にはメダルに届かなかった。

 それでも清武は「まったく悔いはありません」と言い切る。やれることはすべてやったと思えるからこその言葉なのかもしれない。

「関さんのためにも」という思い。

 言うまでもなく、オリンピックは同世代で戦える最後の世界大会だ。それゆえに思い入れも強い。東京オリンピック世代に何かメッセージを、とお願いすると彼はしみじみとこう語った。

「同世代で戦えるって凄く貴重だし、自分の経験で言えば育成年代のころとは違っていろんなことを覚えて集まってくるので、とてもいい時間だったなって思います。若いし、勢いもあるし、大人にもなっているし。

 もし(東京オリンピック世代に対して)言えることがあるとすれば同世代で戦う最後の大会になるのでこの時間を大事にしてほしいっていうことですかね」

 本大会メンバーは18人のみ。選ばれなかった選手たちの思いも背負った。

 インタビューの最後に、関塚の話になった。清武にとって、プロになって現在まで唯一の日本人監督であり、選手、スタッフを含めて一体感をうまくつくってもらっただけに感謝の気持ちも大きい。

「関さんのためにもっていう思いが僕のなかでは強かった。メダルを獲れなかったのは残念でしたけど、本当に素晴らしいチームだったなって思います」

 みんなで尊い時間を大事にしたからこそ、最高の舞台で6試合を戦えた。

 誇らしげな言葉が、そんなニュアンスを含んでいるような気がしてならなかった。

<ロンドン五輪連載第1回「徳永悠平」、第3回「関塚隆」は下の関連記事からご覧になれます>

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