プロ野球亭日乗BACK NUMBER
王貞治氏の提案で待望論再燃も……。
沖縄本拠地では「16球団」は難しい。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/04/17 20:00
昨年、沖縄初のプロ野球球団「琉球ブルーオーシャンズ」が誕生した。清水直行監督(左)と入団が決まった元ヤクルトの比屋根渉。
スケジュールが過密になる時期に……。
少ない年では3カ月で3つないし4つということもあるが、ほぼ6つ以上の台風の接近がある。特に9月の平均接近数は2.1個を数え、'16年には9月だけで4つ、19年も3つの台風が沖縄近辺を通過している。
8月から9月と言えばプロ野球は優勝争いも佳境でペナントレースの終わりが見えてきている頃合いだ。日程的にはクライマックスシリーズと日本シリーズが控えることで閉幕日が決まっている。
その中で中止となった未消化試合もこなしながら、スケジュールがどんどん過密になっていく時期でもある。
その時期にヘタをすれば毎週のように台風が接近する沖縄で、試合が組めるのかということだ。
航空機しか移動手段がないこともネックに。
当然、台風接近の影響は1日だけでは終わらない。
沖縄に近づいてくる台風は発達しながら勢力を増してくるために、完全に通過しきるまでの3、4日はかなり風雨が強くなる。その間は試合開催がほぼ不可能な状態になるということだ。
昨今は気象状況の変化で接近する台風の数は本土とあまり変わらないという主張もあるようだ。
ただ、同じ2010年から19年の9月の各本拠地への平均接近数は福岡北部1.1が中国1.3、近畿1.2、東海1.1、関東甲信1.0、東北0.6、北海道が0.4といずれも沖縄の半分ほどでしかない。
しかも厄介なのは、沖縄は移動手段が基本的には航空機しかないという点だ。
台風が接近すれば、当然のように航空便は欠航する。他の地域は最悪、陸上交通に振り替えるという代替え輸送手段があるが、沖縄は飛行機が止まれば動きようがなくなる。
沖縄での試合ができないだけではなく、移動できずに次のカードにも間に合わないというケースも出てくる。そうなると当該2球団の日程調整だけでなく、他球団の試合消化にも狂いが生じるケースも出てくるわけだ。