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開幕後の空白期間をどう過ごす?
石川遼、今平周吾らが海を渡る理由。
posted2020/01/30 07:00
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
Yoichi Katsuragawa
日本の男子ゴルフツアーは1月第3週、今年も東南アジアでスタートした。
SMBCシンガポールオープンがアジアンツアーとの共同主管競技として、日本の開幕戦となって5年目。2020年はオリンピックイヤーということで、前回2016年リオデジャネイロ五輪のメダリスト3人が招待選手として出場した。
優勝したのは当時銅メダルを米国にもたらしたマット・クーチャー。1月第1週から2試合続けてハワイでプレーしてから、海をわたってタイトルをかっさらっていくのだから、実力は流石としか言いようがない。
最終日は一時的に4ストロークあったリードを失い、バックナインで立て直して後続を退けた。PGAツアーで9勝を挙げているクーチャーからすれば、あるいは一部のファンからすれば、アジアと日本のフィールドは見劣りするのかもしれない。だが、最終ホールで何度もガッツポーズを繰り返す姿を見ていると、彼自身がそんな安っぽい心構えでプレーをしていないことが分かる。
優勝すること、一番になるということは、いつどこであろうと尊い。
メジャー切符を手に入れた木下。
この大会は7月の全英オープンの出場権がかかる試合のひとつだった。日本勢で奮起したのが、28歳の木下稜介。シード選手として2年目のシーズンのはじめに6位という好結果を残し、メジャー切符を手に入れた。1991年7月生まれは松山英樹、石川遼と同じ学年。大卒後にツアーに飛び込み、努力を重ねてようやく芽が出てきたという印象だ。
「正直、全英の切符がかかっていることを試合前は知らなくて。3日目に記者の方に言われて、そういうのもあるんだ……って」と振り返った。
大会期間中に突然降りかかってきたプレッシャーともうまく付き合った結果でもある。舞台はアジアナンバーワンの呼び声も高いセントーサGCのセラポンコース。「難コースでどこまでできるか不安だった。世界ランカーがいる試合でのトップ10入りは自信が確信になる。日本ツアーがこれから楽しみです」と充実感たっぷりにシンガポールを後にした。
ただし……その日本ツアーの次の試合が行われるのは、だいぶ先だ。
2試合目は4月第3週、三重県で行われる東建ホームメイトカップ。年末年始に1カ月の充電期間を過ごして新シーズンを迎えたと思ったら、すぐにまた“オフ”。選手たちは再び約3カ月の空白期間の真っただ中にいる。