フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
「世界選手権では4回転、完璧に」
全日本制覇、紀平梨花が目指すもの。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2019/12/23 20:30
左から2位樋口新葉、優勝した紀平梨花、3位に入った17歳の川畑和愛。川畑はジュニア世界選手権に挑む。
「気持ち的には前向きに取り組めた」
「去年までとはまた違う。新しい気持ちで挑めた試合だったかなと思うので。すごく、気持ち的には前向きに取り組めた試合でした」と気持ちを語り、「いったん一からやり直せるタイミングではあると思うので、表現力もそうですけど、ジャンプのほうも、また練習して、本番力というのをつけられるようにしたい」と前向きに語った。
3位に入った川畑和愛がジュニア世界選手権に派遣されるため、宮原がモントリオール世界選手権の代表に決定した。
昨年のチャンピオン、坂本花織は6位。
もう1人、予想外に崩れたベテラン選手は昨年のチャンピオン、坂本花織だった。SP3位だったところから、フリーでは減点がつかずに降りた3回転ジャンプは3ループのみという、驚くほど不調な演技だった。
フリー7位、総合6位という結果が出た後、泣きながらも報道陣の前に現れた。同じ中野園子コーチの元で競っていた良きライバル、三原舞依が今シーズンは病気の療養で休んでいることで、モチベーションの持っていきかたを失っていたことを告白。
「練習のときから今シーズン、つらくなったらやめてしまうという癖がついてしまって、それがこのフリーの時に出てしまったと思います」と語った。
また、今季のGP大会でロシアのジュニアから上がってきた選手たちがトップを独占したことが精神的に影響していたのかと聞かれると、その要因もあったことを認めた上で、「もっと自分のことに集中すれば良かった」と涙を拭いた。
世界選手権でロシアの若手3人と当たる。
3月にモントリオールで行われる世界選手権では、紀平、樋口、宮原の3人が女子の代表に選出され、おそらくGPファイナルの表彰台を独占したロシアの若手3人と当たることになる。
「昨季、全日本と世界選手権が満足のいく試合ではなかった。世界選手権では4回転と、(3回転)ルッツが入ったショートとフリーを完璧に滑るということを一番の目標にして、そこにピークが合うように調整して、世界選手権で悔いのない、これ以上の演技はないという演技ができたらと思っています」と決意を口にした紀平。
3人がそれぞれの持ち味を生かした、自分らしい演技を見せてくれることを期待したい。