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新任コーチを見守る栗山監督。
チームを成熟させるための「静」。 

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高山通史

高山通史Michifumi Takayama

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photograph byKyodo News

posted2019/11/14 20:00

新任コーチを見守る栗山監督。チームを成熟させるための「静」。<Number Web> photograph by Kyodo News

秋季キャンプを打ち上げた日本ハム。栗山監督は新任コーチたちの動向を静かに見守った。

「キャンプでナイターは、初めて」

 小笠原コーチが先導して、全体メニューの構成を組み立てて、増やした。主力選手も帯同メンバーに加わっていたが、大半が若手。打撃練習に関しては、これまでにない量を設定していたのである。量だけではなく、質も伴うように、各メニューを工夫。その意図を選手個々に、時に手取り足取り伝達しながらの指導だった。豊富な量のメニューへの耐性がなく、体力的に厳しい選手もいたが、意欲的に取り組んで乗り切っていた。

 飯山コーチはファーム担当時から手塩に掛けてきた選手も多く、言葉は少ないが、その独特の職人気質の存在感で空気を変えた。矢野コーチは、特長であるハツラツさで選手を鼓舞しながら、現役時代から不変の野球への一途な姿勢で、良い意味で張り詰めた緊張感を演出していたのである。

 自主練習のメニューを消化して、ナイター照明が点灯した日もあった。長年、キャンプをサポートしてもらっている国頭村の関係者が「キャンプでナイターは、初めてです」と、あっけに取られるほどだった。キャンプ期間中、各種の取材対応をした小笠原コーチは都度、その狙いを問われた。明快に答えていたのが、印象的だったのである。

「ある程度積み上げて、それを継続、持続していって、しっかりとプレーの中で表現する。そのためには一定の量は必要。それができるように、取り組んでいる」

「静」を貫く栗山監督。

 対照的に「静」を貫いたのは、栗山監督である。全体練習は、遠目にチェックしているだけである。フリー打撃の際には、1人で外野へ。守備練習も1人で、その輪から外れて注視していた。新体制で動き出したチームを、俯瞰しながら、いろいろな思いを巡らせていたのである。

 公式戦時も同様のスタンスが多い。試合前練習では1人でいる。キャスター時代には、打撃ケージの裏など至近距離からチェックをし、取材をすることが多かったそうである。監督に就任してから意識的に、練習中の動線を変化させたのだそうだ。

 シーズン中は取材対応を終えると、フリー打撃時にはファウルゾーンまたは外野がメーンの立ち位置である。ノックバットを携えて、1人で練習をチェックしている。時折、通り掛かった選手に声を掛ける。また確認事項があるコーチ、スタッフらと会話をする。その程度しか、接点を持たずにチェックをするのがスタンスである。

【次ページ】 「部下」の仕事に口出さず。

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