サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
サッカー好きに贈るラグビー講座。
大きく違うオフサイドの概念とは。
text by
川端康生Yasuo Kawabata
photograph byNaoya Sanuki
posted2019/10/01 12:00
同じ「フットボール」であるラグビーとサッカー。ただしオフサイドの概念については大きく違う。
開催国の大声援とコンディション面。
ラグビーではできない戦い方だが、サッカーでは定石。まずは負けないこと、そのために失点しないことが鉄則だから、日本代表は合理的な試合運びを遂行したことになる。そして、この初戦を引き分けた後、ロシアとチュニジアに勝って、見事にグループリーグを突破した。
もちろん初めての決勝トーナメント、というより日本代表にとってはあれが2度目のワールドカップで、その4年前に初めて出場したフランス大会では3戦全敗だったから、初めて勝ち点を奪い、初めて白星を挙げ、その上、決勝トーナメント進出まで果たした記念すべき大会になった。
素晴らしい成績を残すことができたのは、やはり開催国として大声援をバックに戦えたことが大きい。
今年は確実に17年前より蒸し暑い。
加えて見逃せないのがコンディション面でのアドバンテージだ。2002年のワールドカップでは前回優勝のフランスとポルトガルがグループリーグで敗退。高温多湿の気候に特にヨーロッパ勢が苦しんだ。そして優勝候補の一角だったアルゼンチンが敗退したことも含めて波乱の大会となる中、開催国の日本(と韓国)が勝ち進んだ。
今回のジャパンももちろん国民の後押しをエネルギーに躍動している。そして今年は17年前よりも確実に蒸し暑い。あのときの日本代表同様、まだ決勝トーナメントに進んだことのないジャパンだが、ここまですでに2勝。開催国のアドバンテージも加えて、日本代表と同じように快挙をやってのける可能性はかなり高い。
その一方で、サッカーファンには警鐘を鳴らしておきたい思い出もある。アトランタオリンピックだ。
言うまでもなくブラジルを破る大番狂わせを演じた大会である。あのとき五輪代表はグループリーグ3戦で2勝を挙げながら決勝トーナメント進出を逃した。3チームが2勝1敗で並んだ末に、得失点差で涙を呑んだのだ。
実はジャパンも前回のワールドカップで同じ目に遭っている。南アフリカも含めて3勝を挙げたにもかかわらず、ボーナスポイントの差で3位。今回も同じことが起きないとは限らない。
すでに指はかかっている。だからこそ、ぐいとつかんでつかみとりたい。