野球善哉BACK NUMBER
U18から学ぶ投手起用の世界標準。
監督批判で終わらせてはいけない。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byAFLO
posted2019/09/26 11:40
西純矢が素晴らしい投手であることに疑いの余地はない。それだけに、采配にもう少し配慮があってほしかった。
アメリカは先発の登板間隔を死守した。
アメリカの選手への配慮が垣間見えたのは、雨天中止による順延への対応だ。
今大会では第1次リーグから2次リーグの間に休養日を1日挟むことになっていたが、雨で試合が流れたことで多くのチームが休養日を削る予想外の日程になったのだ。
一見すると休養の日が変わっただけにも見えるが、登板間隔を考えると事情は簡単ではない。
初戦で投げたハリソンは、当初の日程ならば2度目の登板が4日後、さらに5日後の決勝戦で先発が可能なはずだった。しかし2度目の登板が1日遅くなったために、決勝までの間が中3日になってしまったのだ。
この日程をどうやりくりするか注目していたのだが、アメリカの選択は、ハリソンの先発回避だった。決勝戦の先発は、日本戦の2番手で登板していたルーカス・ゴードンだった(ハリソンはリリーフで登板し、0回2/3を投げている)。
U18の大会で結果を残すことはアメリカにとっても重要だったはずだが、それよりも選手の健康面をケアしたということだ。
結果としてはアメリカは決勝で敗れて5連覇を逃したが、彼らの選手マネジメントは、高校生年代への配慮が感じられるものだった。
日本は登板回数を増やす手に出た。
一方の日本はというと、第1次リーグの初戦に先発した池田陽佑(智弁和歌山)はそれ以後の試合で先発をしていない。彼の2回目の登板は、第2次リーグの韓国戦の10回裏だった。
休養は十分だったが、彼のチーム内でのプライオリティや起用法が明確ではなく、かと思うと西純也には先発を含む3連投を課していた。林優樹(近江)、宮城も先発登板の前日にリリーフで投げている。
起用数を見る限り、永田監督は奥川恭伸(星稜)、佐々木朗希(大船渡)を主戦に、それ以外の投手では西と宮城の2人を高く評価していたのだろう。
しかし彼らの起用方法はというと、フレッシュな状態を維持することよりも、球数制限ルールのギリギリまで投げたうえで登板間隔を最小限にとどめ、登板回数を増やすというものだった。