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日本人対決で菊池雄星を圧倒!
田中将大が見せた「残像」の妙。
posted2019/09/05 18:00
text by
木崎英夫Hideo Kizaki
photograph by
KYODO
現地時間8月27日(日本時間28日)、2年ぶりの日本投手対決で注目されたヤンキース・田中将大とマリナーズ・菊池雄星の投げ合いは、7回を零封した田中が日本投手初の6年連続2桁勝利を挙げる快投。4回5失点で9敗目を喫した菊池を圧倒した。
田中は切れのあるスライダーを軸に、スプリットと直球を配した投球で、得点圏に走者を許した5回と7回以外は全て3人で切り抜けた。シアトルのT-モバイル・パークのマウンドを分けた菊池は、「僕自身がこれから勝つために必要なものを勉強させてもらいました」と田中の投球に感じ入った。
勝つために必要なもの――。
菊池は田中の「全体的なバランスとコントロール」を挙げていた。実際の田中は難局においては、投球の精髄が宿るとも言うべきプロセスでアウトを奪っていた。本人は「対峙している打者1人をどう抑えるかにしっかりフォーカスしながらいい投球ができた」と振り返った。
「キャッチャーの意図はすぐピンときました」
登板翌日のゲーム終了後、「フォーカスした投球」について改めて水を向けると、田中は大きなポイントとして7回のピンチで迎えた5番マーフィーの打席について話し始めた。7月から打撃の好調を維持しナルバエスに代わりマリナーズの正捕手の座に就いた打者を2打席封じ、1死二塁で3度目の対決に挑んだ場面だった。
「しっかりとボールを見て、初球からは振ってこない打者ですね」
田中は、先の打席とデータを踏まえ、初球に148キロの直球を外角に投げ込みストライクを取る。そして次の2球目が、巧妙な糸となって結果に結び付くことを即座に感知した。
「『あ、それもありか』と、少し驚いたんですが……。キャッチャーの意図はすぐピンときましたね」