猛牛のささやきBACK NUMBER
西の人的補償でやってきた竹安大知。
新天地オリックスで向上した修正力。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2019/09/06 11:30
プロ4年目となる今季は肩の故障で出遅れるも、先発ローテ入り。首脳陣の期待も大きい。
昨年までの一軍登板は3試合。
その新天地で、今年、竹安は充実のシーズンを送っている。
昨年までの3年間で一軍登板わずか3試合だった右腕が、今年は6月12日の中日戦でプロ初先発すると、6月24日の東京ヤクルト戦では7回0/3を投げ、2失点で今季初勝利。安定した投球を続けて先発ローテーションに入り、ここまで10試合に登板して3勝2敗。8月17日の千葉ロッテ戦では、わずか2安打で初の完封勝利を挙げた。
今シーズンの結果は、プロに入ってから「まっすぐを強くしたい」という意識で昨年まで積み重ねてきたことの上に、オリックスでの指導やトレーニングがプラスされた成果だと言う。
「何かをガラッと変えたわけではありません。正直、ボールに対する手応えはそんなにないし、実際、ヒットはだいぶ打たれている」
竹安自身そう話していたように、完封した8月17日のロッテ戦を除けば、安打を打たれながらもしぶとくピンチをしのぐ、という試合の方が多い。
ただ、打たれたり四球を出しながらも大崩れしなかったのは、修正力が向上したからだ。
うまくいかない時のチェック項目。
その修正力については、今年6月に一軍に昇格するまで、二軍で中垣征一郎パフォーマンス・ディレクターに受けた指導の影響が大きい。
「つきっきりで、チェックしてもらって、投げて、またチェックしてもらって、投げて、というのを繰り返して、自分の中に今までなかった感覚というか、引き出しが増えました。こうしたほうがいいよ、といろいろと新しい対処法を教えてもらいました」
「こういう時にこうなるタイプだから、そこに気をつけて」というふうに、竹安の傾向を踏まえたいくつかのチェック項目が与えられている。試合中、うまくいかない時はそのチェック項目を確認することで、悪い部分を修正し、立て直すことができる。
「たとえば、自分は左足を早く地面につきに行きたがるんですけど、そうなるとどうしても力が抜けてしまうので、地面につくのを我慢して、左足が体から離れていく感覚で投げる。そうすることで、体の力が抜けず、パワーを伝えられるんです」
9月1日のロッテ戦では、ボールが先行してリズムの悪い投球になり、浮いた球を捉えられて4回途中で降板。翌日に登録抹消となったが、自身を冷静に見つめ、立て直すことができるようになった竹安のこと。
また安定感を取り戻し、一軍に戻ってくることだろう。