ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
G1後に待っていたクライマックス。
鈴木みのるが派手技を解禁した意味。
posted2019/08/19 17:00
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by
Essei Hara
飯伏幸太の初優勝で幕を閉じた今年のG1クライマックス。
最終戦の8.12日本武道館では、飯伏vs.ジェイ・ホワイトの優勝戦のほか、KENTAが“ソウルメイト”柴田勝頼を裏切ってBULLET CLUB入りという“ヒールターン”を行うなど、サプライズもあったが、ある意味でもっともインパクトを残したのは鈴木みのるだった。
鈴木は、今年のG1出場メンバーからまさかの落選。昨年はIWGPインターコンチネンタルヘビー級王座を獲得するなど、NEVER王座も含めたタイトル戦線で闘い続けていたにも関わらず、最強を決める闘いから外されたことで、G1開幕前まではその怒りを爆発させていた。
6.16後楽園大会では試合後にマイクを握り、「なぜ、俺をG1に出さない? そんなに目障りか、そんなに危険か? お前らが大事にしているオカダをこうやって苦しめるからか? (観客に向かって)お前らだって、見たいだろ。俺とG1出場選手の試合を。客の声聞けば分かるだろ! 今すぐ『最強決定戦』なんて、偽りの看板を下ろしやがれ!」と、新日本プロレスと、ファンの両方に対してアジテーションを展開。
2階席まで響いた“生音”。
しかし、G1開幕後は黙々と前座のタッグマッチに出場し続け、不気味な沈黙を貫いていた。
その鈴木が口を開いたのは、G1最終戦前日となる8.11武道館大会。試合後のコメントルームで「知ってるか、おまえら? 何かを動かす時、目の前の小さなことをいじっていたらダメなんだ。大きく……動くぞ」と、なにやら予告めいたことを口にした。
そして迎えたG1最終戦の8.12武道館。鈴木はザック・セイバーJr.と組んで、オカダ・カズチカ&棚橋弘至と対戦。
この試合で鈴木は、自分の力を大観衆と新日本の上層部に見せつけるかのように、抜群のコンディションで、動きにキレのある闘いを展開。オカダとのエルボー合戦では、武道館の2階席まで“生音”が届くような強烈なエルボーで、オカダをマットに這わせてみせた。