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井岡一翔の緻密で美しい4階級制覇。
山中慎介、井上尚弥と違うスター性。 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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photograph byHiroaki Yamaguchi

posted2019/06/20 14:45

井岡一翔の緻密で美しい4階級制覇。山中慎介、井上尚弥と違うスター性。<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

序盤は押され気味の展開だったが、徐々に持ち味を発揮し始めた井岡。勝負に出た10回、パリクテを仕留めた。

井上らの活躍にも「自分のやることを」

 井岡が世界タイトルマッチで勝利するのは'17年4月以来のこと。この間に国内の勢力図は大きく変化した。五輪金メダリスト・村田諒太(帝拳)が日本人2人目のミドル級世界王者となり、“モンスター”井上尚弥(大橋)は3階級制覇を達成。WBSSバンタム級トーナメントでも爆発的な強さを発揮し、存在感を大いに強めてきた。

 試合後、井岡は井上の活躍について問われて次のように答えた。

「僕もいま現役ですし、彼を評価するとかは失礼だと思う。彼は偉大なことをしているし、何も感じないといったらウソですけど、僕は気にせず自分のやることをやっていこうという感じです」

 記憶にも記録にも残る唯一無二の存在を目指し、まずは前人未到の4階級制覇を達成した。TBS系列で生中継された試合のテレビ視聴率は平均11.5%(関東地区)というから、まだまだ主役を張れる数少ないスターであることも証明した。

 4階級制覇を成し遂げ、次なる目標は海外での団体間統一戦だ。井岡のチャンピオンロードが再び始まった。

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