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総年俸がロナウド1人に及ばなくても。
アタランタ、112年目で初CL目前!
text by
手嶋真彦Masahiko Tejima
photograph byUniphoto Press
posted2019/05/08 08:00
青と黒のチームカラーが印象的なアタランタ。欧州への扉を開けようと必死の戦いが続く。
コッパ・イタリア制覇なるか。
そもそもガスペリーニが大抜擢した当初のカルダーラは、ガリアルディーニやコンティと同様に無名の若者にすぎなかった。アタランタで大きなリスクを取れるのは、ピッチ上の選手たちだけではない。彼らを導く指揮官自身の用兵が大胆なのだ。
さらには、たとえ複数の主力を移籍で失おうとも、短期間のうちにチームを再建できる。
「我々がどこから出発したか。それを考えると、現在地を見て、信じられない思いになります」
一度は会長職を辞任し、2010年から復帰しているペルカッシがそう語るのは、アタランタにもうひとつ大きな可能性があるからだ。コッパ・イタリアでは頂点が見えている。5月15日の決勝でラツィオを破れば、1962-63シーズン以来56年ぶり2度目の戴冠となる。
CLへ、残り3試合で2勝は必要。
アタランタがクラブ史上初のCL出場権を自力で掴むには、残り3試合で2勝1分け以上の結果が必要だ(他力を視野に入れると2勝1敗でも可能性は十分あるだろう)。奇しくも5月11日の36節はジェノアと、5月19日の37節はユベントスと対戦する。ガスペリーニにとって前者は通算7シーズン以上トップチームを率いた、後者は育成部門の指導者をほぼ9年に渡って務めた古巣。なんとも不思議な巡り合わせだ。
「CL出場権獲得とコッパ・イタリア優勝のどちらを選ぶか? 我々の第一の目標はいつだってセリエA残留です。飽きることなく、ずっとそう言い続けるでしょう」
ペルカッシがそう語ったのは、4月25日にコッパ・イタリアの決勝進出を決めた直後だった。会長の言う通り、地方都市のプロビンチャはいつまでもプロビンチャのままなのだろう。だからこそ、つい肩入れしてしまう。
通常は弱者のプロビンチャでありながら、おそらくガスペリーニは最後まで攻撃的な強者のサッカーを貫き続ける。思わず見入ってしまうような魅力的なサッカーを――。
亡くなったファビーニに、アタランタはどんな報告ができるだろうか。