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ロシア女子に贈る「マラディエッツ」。
重鎮タラソワ、インタビューの裏側。 

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栗田智

栗田智Satoshi Kurita

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photograph byOlga Skorupskaya

posted2019/04/24 08:00

ロシア女子に贈る「マラディエッツ」。重鎮タラソワ、インタビューの裏側。<Number Web> photograph by Olga Skorupskaya

カフェで取材に応えるロシアフィギュア界の重鎮タチアナ・タラソワ。インタビューの最後を笑顔で締めくくった。

「すべての選手は唯一無二の存在」

 平昌五輪で金、銀メダルを獲得したアリーナ・ザギトワとエフゲニア・メドベデワ。シーズン途中、思うような結果が出せず、もがき苦しんでいた2人の姿はどう映ったのか。また、メドベデワの移籍についてもぜひ聞いてみたい。エリザベータ・トゥクタミシェワの復活の理由、ソフィア・サモドゥロワなど新たな才能の登場、エテリ・トゥトベリーゼ率いるジュニア選手たちの来季シニアデビューで勢力図はどう変わるのか──。

 詳細はNumber PLUS本誌で読んでいただくことにして、インタビューでとくに印象に残ったのは「すべての選手は唯一無二の存在」という言葉だった。みんなちがって、みんないい、のだと。

 ジャンプが得意な選手、表現力が豊かな選手、皆それぞれに個性があり、それぞれに合った特別なプログラムがある。与えられたプログラムをパーフェクトに滑り切ること、それこそが一番大切なことであって、他の選手と争ったり、周囲を見渡したりする必要はない。フィギュアスケートは自分との戦いなのだと。

「たとえば、どうしてみんな4回転ジャンプの部分ばかりを切り取って持ち上げるのかしら。たしかにすごいことではあるけれど、フィギュアスケートの要素はそれだけではないでしょう? プログラム全体を通して芸術性を感じるべきよ」

誰もが4回転を跳ばなければいけないのか。

 選手それぞれが、ぞれぞれの方法で宇宙を目指す──。

 なにも4回転ジャンプを跳ばなければ絶対に勝てないということではないし、高難度かつ美しい3回転のコンビネーションジャンプなど表現の方法は他にもあるということだった。

 コーチも同様だ。世界にはさまざまなコーチングスタイルがあり、幼少期からの育成が得意なコーチもいれば、完成された選手をさらに伸ばすことのできるコーチもいる。促成的な視点で育てるコーチもいれば、長期的な視点で育てるコーチもいる。

「たしかに現在フィギュアスケートを前進させているのはエテリ・トゥトベリーゼですし、彼女の仕事ぶりには敬意を払いたいですが、コーチにしても道はひとつではありません。大切なのは選手を育てていくという本質の部分です」

【次ページ】 日本でも定着しつつある「マラディエッツ」。

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