猛牛のささやきBACK NUMBER
オリの“ジャイアン”は用意周到!?
新5番候補・頓宮裕真に漂う期待感。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2019/03/26 07:30
3月16日の広島戦。昨季セ・リーグ最多勝の大瀬良からレフト上段へ叩き込むホームランを放った頓宮。
庭で素振りをする「ゆうま君」。
山本の記憶に強く残っているのが、庭で素振りをする頓宮の姿だ。
「自分の家のリビングから素振りしているゆうま君が見えるんです。自分はめっちゃテレビ見てるんですけど、ゆうま君はずーっとバットを振っていた。毎日、とにかくずっと。小学校の時も中学校の時も。これだけ今も印象に残っているってことは、本当にたくさんやってたんだと思います」
そのことを頓宮に聞くと、こう振り返った。
「回数とかは決めずにやっていましたね。納得がいくまで」
時には、1時間以上ずっと振り続けることもあったと言う。
主軸・吉田正尚と重なる姿。
そのエピソードを聞いて、吉田正尚の話を思い出した。小学生時代の練習について聞いた時、吉田はこう語っていた。
「素振りは回数を決めてやると、ただ回数をこなすだけになりがちなので、決めずに振っていました。自分が納得したら早く終わったし、長い時もあった。細かい技術を身につける前に、やっぱり振る体力が必要。そういう意味では、小さい頃にガムシャラに振っていたのがよかったのかなと思います」
その他にも、パワーだけでなく思考力と柔軟性を備えており、プロの投手への対応力に優れている点、そして大学日本代表で4番を張っていたことも2人に共通している。
キャンプ中から2人が並んで話し込む姿がよく見られた。頓宮は言う。
「全部自分のほうから(吉田に)聞いて、それに答えてくれるという感じです。例えば打席での待ち方。追い込まれてからはポイントを近くにして待つとか。2ストライクからを課題としてやっていたんですが、その待ち方を意識してから打てたので、結構いい感じできています」