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女子ハンドボール代表がアジア2位。
熊本経由、東京五輪行きの手応えは? 

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田口有史

田口有史Yukihito Taguchi

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photograph byYukihito Taguchi / JHA

posted2018/12/14 12:20

女子ハンドボール代表がアジア2位。熊本経由、東京五輪行きの手応えは?<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi / JHA

決勝戦、リードで折り返すも……。

 韓国を破って名実ともにアジア女王として来年の世界選手権を地元で開催すべく決勝戦に挑んだ日本は、超満員の完全ホームの声援の後押しも受けて、持ち味のアグレッシブなディフェンスからの速攻を確実に決めるなど、準決勝までとは打って変わって序盤からゲームをコントロール。1点リードで前半を終える。

 しかし後半が始まると韓国は前半とディフェンスのシステムを3-2-1に近い形に変更。日本はその変化に苦しみ攻撃のリズムを失ってしまう。守っても韓国選手の個人技にディフェンスが押し込まれるシーンが目立ち、逆転を許すとジリジリと点差を広げられ、30対25。14年ぶりのアジア女王の座を逃した。

 世界の強豪国と互角に渡り合っていくには、常に変化している試合の状況にいち早く適応していく能力が求められる。

「焦ってしまった」

 原が試合後のミックスゾーンで語ったように、後半早々からエンジン全開でボールを持った選手との距離を詰めて、近いところのパスコースを潰しに来た韓国ディフェンスの変化に対し、日本の選手たちは落ち着いて視野を広く対応することができなかったように思う。

 また、早い時間帯でタイムアウトを取ったり、選手を入れ替えたり、システムを変更してみたりと手を尽くして見たものの、大きくて強く、そして上手い韓国の11番リュウ・ウニを中心とした個人技に乱されたディフェンスも、残念ながら試合中に修正しきることはできなかった。

個々のスキルアップが不可欠。

 今大会は、残念ながら韓国の壁を越えることはまたしても叶わなかった。しかし2018年のハンドボール女子日本代表の戦いぶりを振り返ると、スピードと組織力を活かしたディフェンスは世界の強豪国と充分渡り合える感触を得た。

「海外の選手の当たりの強さやパワー、拮抗した試合を多く経験する事がこういったハイレベルの試合を勝ち切るには必要」

 と、デンマークでプレーする池原が語るように、フリーの状態で打った時のシュートの決定率、そしてワールドクラスの当たりの強さの中で持ち味のスピードを活かしてシュートを決めきる能力など、個々のスキルアップは日本代表がもう一段、上のグループの仲間入りするには不可欠である。

【次ページ】 来年には熊本で世界選手権が開催。

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