F1ピットストップBACK NUMBER
30回目の鈴鹿はひと味違った!
今年のF1日本GPは観客増、若者増。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byHiroshi Kaneko
posted2018/10/08 13:00
鈴鹿は、これからもF1ドライバー、そして日本のF1ファンの夢のサーキットであり続ける……。
グランドスタンド席に高校生と大学生を。
特に鈴鹿サーキットが力を入れたのは、若い世代のファンにサーキットまで足を運んでもらう取り組みだった。
チケッティングシステムを大胆に変更。
例えば、今年のグランドスタンドの一部の席は、30周年を記念して高校生と大学生に1万円で限定販売した。また3歳から中学生までの子ども料金も全席3000円に設定した。
しかし、観客が増えても、単価を下げれば収益は下がってしまう。それでも、このような企画を鈴鹿サーキットが打ち出したのは、
「日本のモータースポーツの将来を考えたとき、私たちは若いファンを増やなければならない」という山下社長からの提案だった。
「グランプリの質を上げていく」
このような鈴鹿サーキットの取り組みが功を奏し、今年の日本GPは金曜日から前年を上回るファンが訪れ、日曜日には8万1000人が来場。昨年が6万8000人だったから、約20%の増員となった。
だが、山下社長は「大切なことは観客の数を増やすことだけではなく、グランプリの質も同様に上げていくこと」だと言う。
例えば、'80年代から'90年代の日本GPは、現在よりも多くの観客が訪れたものの、サーキット周辺は常に渋滞に悩まされていた。サーキットの最寄駅のひとつである白子駅までは通常であれば、車で15分程度で到着するが、グランプリ期間中は30分以上は優にかかっていた。時には歩いたほうが早いときもあったほどだった。
それがいまでは15分程度と渋滞はほぼ解消された。
鈴鹿サーキットに近くには、鈴鹿市中心部を走る国道23号の迂回路である中勢バイパスがあるが、周辺自治体と国交相、そして三重県警がグランプリ期間中の土日のみ、サーキットと白子駅を結ぶバスの専用道路として開放するようになったからだ。
交通事情だけではない。サーキット内で行われるさまざまなイベントも、この30年間で充実してきた。