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拡大するBリーグとアジアバスケ。
琉球のテリフィック12優勝の価値。
text by
小永吉陽子Yoko Konagayoshi
photograph byASIA LEAGUE
posted2018/10/03 11:30
「テリフィック12」で見事優勝を飾った琉球。主将の岸本は大会MVPにも輝いた。
東アジアではイベント目白押し。
アジアのクラブ王者決定戦である『アジアチャンピオンズカップ』は27回の歴史を誇る大会で、ようやく今年からBリーグ王者も参戦することになったが、過去を遡れば、出場チームは中東地域と中国、およびフィリピンが占めていた。2つのリーグが分裂していた日本はもとより、韓国やチャイニーズ・タイペイといった東アジア勢が出場することはほとんどなかった。
そうした足並みが揃わなかった中で、アジアリーグは近いようで交流がなかった東アジア地区とフィリピンまでをカバーした地域のレベル向上に一役買おうとしている。
今後5年間、東アジアではバスケットボールのイベントが目白押しだ。来年に中国で開催されるワールドカップを皮切りに、2020年には東京五輪、2023年にはフィリピンと日本とインドネシアの3ヶ国共催のワールドカップが予定されている。今、アジアのバスケはステップアップすることが急務なのである。
東アジア同士で競い合う形を。
アジア事情に精通した仕掛け人、アジアリーグ代表のマット・ベイヤーは今後の大会展望をこのように語る。
「FIBAアジアチャンピオンズカップと僕らのゴールは、アジアのバスケの発展を目指す意味では共通したものです。そうした理念をFIBAに理解してもらい、お互いにコミュニケーションを図ることで、FIBA公認大会となりました。ヨーロッパではFIBAとユーロリーグが不仲で運営がうまくいっていないが、それは誰も得をしない。
僕らはFIBAの公認大会になることで、FIBAアジアチャンピオンズカップと一緒に成長していきたいと考えています。最終的な私たちの目標は東アジアを中心にクラブ同士が競い合えるプラットフォームを確立することです」
ベイヤー代表がアジアのバスケを発展させる仕掛けとして考えたのが、東アジアと東南アジアの中心地であるマカオとの融合だった。このトーナメントにはマカオ特別行政区スポーツ庁が強力なバックアップとして支援している。マカオは決してバスケが強い地域ではないが、様々な特色を持つリゾートホテルが集合しており、美食とエンターテインメント性に優れた地域である。
「スポーツはエンターテインメントを組み合わせることで成長すると考え、カジノ以外でも発展を目指していたマカオと組むことで新しいスポーツの産業を生み出したかった」とベイヤー代表はその目論見を語る。
会場となるのは、リゾートホテルが揃うコタイ地区にあるスタジオシティマカオホテル。そのホテルの中に5000人規模の集客ができるアリーナを構えているのだから、目新しさという面では興味が持てる。