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大坂なおみの冷静さに恐れ入る。
20歳の女王が得た「負けにくさ」。
posted2018/09/22 11:30
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph by
AFLO
グランドスラム女王の椅子がまだ体に慣れない大坂なおみにとって、真価が問われる試合が続く。
初戦の2回戦で実力者ドミニカ・チブルコバに快勝したが、準々決勝の相手も難敵だった。
32歳のベテラン、世界ランキング25位のバルボラ・ストリコバ。昨年まで10年連続トップ100の地位を保ち、昨年は自己最多の43勝を挙げて、2年連続トップ25でシーズンを終えた。今季は全豪と全仏で4回戦進出と、大舞台でも実力通りの結果を残している。
成績も一流だが、プレースタイルがくせ者だ。ダブルスの世界ランク12位が示すようにネットプレーを含めて多彩なスキルの持ち主で、試合運びにも長けている。大坂との対戦成績は1勝1敗。初対戦の'15年東レPPOでは大坂が敗れたが、'17年のウィンブルドンで雪辱した。
立ち上がりから揺さぶりにくる。
ほかの日本選手もストリコバには何度か痛い目にあっている。今年の全仏では奈良くるみが逆転負けを喫した。序盤は奈良が積極的に配球して6-1としたが、ストリコバがそこから底力を見せた。リスクを承知で攻撃的なプレーに切り替え、展開が一変した。自分を激しく鼓舞し、うまくいかなければかんしゃくを起こしたが、それでも集中は最後まで切れなかった。
そういう試合巧者が、期待という名の重圧を背負う大坂に挑んでくる。対戦が決まると「トリッキーなプレーも入れる」と宣言しており、大坂にとって難しい試合になると思われた。
立ち上がりから、すんなりとはいかなかった。くせ者ストリコバが名刺代わりのチェンジオブペースで揺さぶってきた。スライスでペースを変え、ドロップショットで大坂を走らせる。最初のゲームはキープしたが、4-2からの第7ゲームでミスが相次ぎ、ブレークバックを許した。