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甲子園で「1-0」が絶滅寸前?
過去にはダルビッシュや王さんも。 

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田澤健一郎

田澤健一郎Kenichiro Tazawa

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photograph byHideki Sugiyama

posted2018/08/18 07:00

甲子園で「1-0」が絶滅寸前?過去にはダルビッシュや王さんも。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

甲子園が「打撃有利」に傾いた後の2003年、最高の「1-0」を演出した東北のダルビッシュ有。

打撃重視と複数投手制の影響は?

 ちなみに「1-0」のゲームが出やすいのは大会前半である。投手の疲労がたまる一方、緊張感のある初戦をしのぐなどして、打線が勢いをつけていたり、本来の力を発揮できているチームが多い後半は、なかなか「1-0」が出にくい。

 それでも過去、決勝戦の「1-0」は8試合。10年強に1回の割合で出るスコアではあった。しかし、現在のところ決勝戦の「1-0」は1992年の西日本短大付vs.拓大紅陵が最後。それまでの最長ブランクであった17年を大きく上回る26年のブランクを継続中である。

 ちなみに準決勝まで広げても最後の「1-0」は1997年の智弁和歌山vs.浦添商と21年前。冒頭で触れた智弁和歌山が豪打で初優勝を飾った年であることは、どこか示唆的にも思える。

 こうした背景や今年の大会の状況から考えると、今年の大会で「1-0」が拝める確率はかなり低くなったというのが妥当な結論になるだろう。このまま甲子園からは「1-0」は減少の一途をたどるのだろうか。

 ただ、打撃重視の一方で、最近は有力校が能力の高い投手を複数揃え、起用することが増えた時代でもある。疲労の少ない状態で大会後半に臨める好投手を複数抱える高校同士の対戦となれば……。次はそんな新たな時代の「1-0」を目にしてみたいところである。

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