F1ピットストップBACK NUMBER
スーパーアグリは今も走っている!
所有する佐藤琢磨ファンの夢とは。
posted2018/08/15 11:15
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Masahiro Owari
ドイツGPとハンガリーGPの2連戦の最中、F1参戦継続が危ぶまれていたチームがあった。インド人のビジェイ・マリヤがオーナーを務めていたフォース・インディアだ。
スパイカーを買収し、2008年からインドチームとして初めてF1に参戦したマリヤだったが、'17年に詐欺罪で逮捕されると、チーム運営が一気に悪化。多額の負債を抱えたチームに対して、債権者がイギリス・ロンドン高等裁判所へフォース・インディアの破産手続き申立書を提出するという法的措置を行なっていた。
その後、管財人の管理下に置かれたフォース・インディアだったが、カナダのビジネスマンにしてウィリアムズのランス・ストロールの父、ローレンス・ストロールが率いる投資家コンソーシアムが、チームを救済することで合意。その結果、約400人のスタッフを抱えたフォース・インディアは、8月24日から再開するベルギーGP以降も、F1に参戦することとなった。
鈴木亜久里と10年前の撤退会見。
そのフォース・インディアが生まれた'08年に、同じように資金繰りに苦しみ、シーズン途中でF1活動に終止符を打ったチームがあった。
スーパーアグリだ。
この年、開幕戦から経営的に厳しい状況が続いていたスーパーアグリは、トルコGPを前にした5月6日に都内で記者会見を開いて、元F1ドライバーで当時チーム代表を務めていた鈴木亜久里が、正式にF1からの撤退を発表した。
たったひとりで記者会見を行った亜久里には、多くの質問が飛んだ。その中のひとつに「2年半というF1活動の中で、最もうれしかったことは何か?」というものがあった。