野球善哉BACK NUMBER
高岡商のエースは1人ではなかった。
交代を告げられ「大島に託そう」。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2018/08/07 15:45
8回からマウンドに上がった高岡商の大島嵩輝はただの2番手ではない。「エースを支える男」なのだ。
プレイヤーズ・ファーストならば。
「先発すれば完投するつもりではいるんですけど、自分は後ろにあいつがいると助かります。全力で行けますし、安心して投げています。もっといえば投手陣は4人いるので、誰が投げても安心して見ていられるのはあります」
大島はそういってはにかんだ。
1人のエースに頼ったチームと、複数投手制を敷いたチーム。
最近は複数投手制を採り入れるチームが増えてきたのは間違いないが、まだエースは完投するべきという考えも根強く残っている。
この議論はこれからも続いていくだろうが、高岡商の投手陣を見る限り、選手たちにとっての最善、つまり「プレイヤーズ・ファースト」を念頭に置いてチームづくりをすれば、采配はおのずと決まってくるように思う。
吉田監督の采配には選手たちへの思いやりがあった。