甲子園の風BACK NUMBER
小山台高校野球班に受け継がれる志。
大事な試合に現れる「赤とんぼ」。
text by
神津伸子Nobuko Kozu
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2018/08/03 07:30
公立ながら激戦区の東東京で決勝に進出した小山台高校。敗れはしたもののいい表情だ。
野球日誌に残る思いを引き継いでいく。
履正社に敗れた悔しさが、野球班の原動力の1つになっていると福嶋監督も話す。この夏は第1シードから順調に勝ち上がり、準々決勝では強豪安田学園を延長で破り、準決勝では帝京に7-2で快勝。決勝でも先制、中盤までリードする快進撃を続けた。
練習時間が少ない普通の高校生でも、甲子園が夢ではない事を体現して見せてくれた。選抜の21世紀枠の意義を問う声も少なくないが、小山台高校は甲子園の体験を着実に次につなげようとしている。
福嶋は決勝後、甲子園出場まで何があと一歩足りないかを問われてこう答えた。
「練習時間ですかね。でも普段の生活が1番、学業が2番、野球が3番。甲子園は学校の中にあり、毎日を精一杯生きる事によって甲子園が近づいて来る」
小山台野球班は、野球日誌をつけている。
市川君も書いていた。一部を紹介する。
「当たり前のことを当たり前にやる。でもそれが難しい。一分一秒を悔いのないように生きる。精一杯生きる」
決勝戦が行われた日は模試の予定だったが、決勝進出で30日に延期された。国公立大の理系学部を目指す戸谷を始め、3年生は次の目標へ向けて歩き始めている。
2年生以下は合宿中だ。新チームが始動し、秋以降の大会を見据える。
市川君は、こうも綴っている。今を生きる者が、その思いを引き継いでいく。
「エブリデイ マイ ラスト」