炎の一筆入魂BACK NUMBER
「引退」の二文字はまだ早い……。
村田修一、今季NPB断念と現役の意地。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byKyodo News
posted2018/08/02 11:30
「引退」という言葉を明確に否定しつつも、プロとして来季プレーすることの難しさも同時に語った村田修一。
「小学3年から野球を続けて……」
怪我も癒えて本格復帰を果たした後、栃木で見せつけた打力もまた、色あせてはいなかった。
先の会見場でのコメントでも「(NPBでプレーする)万全の準備はできていた」と胸を張っていたのだ。まだやれる自信はあるが、まだやれる自信があっても、もうプレーする場がないことを思い知った9カ月でもあったのかもしれない。
9月9日が栃木での最終戦となる。
「小学3年から野球を続けてきて、その集大成を皆さんにお見せできたら」
栃木が本拠地とする小山市の球場周辺は、山を望み、畑が広がり、チョウチョが飛び、セミが鳴く。生まれ育った町に似ている。
プラスティックのバットを振り回したときと同じように小麦色に日焼けした37歳が、平成最後の年に、本当に好きだった野球に一区切りを付ける。