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宮原知子や坂本花織を悩ませる、
フィギュア女子ルール改正の余波。
posted2018/07/30 10:30
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
季節は夏真っ盛りだが、フィギュアスケートの新たなシーズンがまもなく幕を開ける。8月1日のアジアンオープントロフィーには、グランプリシリーズにもエントリーしている16歳の白岩優奈、15歳の山下真瑚らが出場予定。ジュニアグランプリシリーズも8月からスタートする。他の選手も8月ないしは9月に初戦を迎えるとあって、プログラムの習熟に余念がない。
開幕を目前にした今、選手たちを悩ませていることがある。今シーズン、採点のルールが大幅に変わったことだ。中でも特に神経を使っているのが「GOE」だ。
フィギュアスケートファン以外の方にもわかるように説明しよう。
ジャンプやスピン、ステップはその種類に応じて基礎点が決められている。その点数に対し、出来に応じて加点ないしは減点された結果が得点となる。この際に加点、減点されるものがGOEであり、出来栄え点とも呼ばれている。
だから、同じ種類のジャンプを飛んだとしても、選手によって完成度の違いが点数に表われる。結果として多くの技で高い加点が得られる選手と、そうではない選手とでは、総合得点で比べたときに大きな違いが出てくる。
評価の幅の大きさが広がった。
では、今回GOEはどのように変わったのか。最も変わったのは評価の幅の大きさである。これまでは「0」を中心に、-3から+3までの7段階評価となっていた。それが-5から+5までの11段階へと広がったのである。
国際スケート連盟(ISU)のジャッジ、テクニカル・コントローラーとして活動し、現在はISU技術委員も務めている岡部由起子氏は、端的にこう説明する。
「GOEの幅が増えたことで、失敗した場合はこれまでより点数が低くなります。完成度が高いものは、より高くなる。そういうルールだと言ってよいと思います」