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首位・広島に戻ってきた頼れる男。
千葉和彦「再び息子と歩くために」
text by
石倉利英Toshihide Ishikura
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/07/27 10:30
森保一監督時代から広島の最終ラインを仕切る千葉和彦。その万能性はJリーグでも屈指だ。
城福監督も復帰を歓迎した。
練習への完全合流は6月18日。まだプロテクターをつけてはいたが、対人プレーを含むすべてのメニューをこなした。練習後、報道陣が「ここまで長かったですね」と声を掛けると、「いやー、長かったです。そろそろ息子が、つかまり立ちしますよ」と笑わせつつ、「良い感じでプレーできた」と手応えをつかんでいた。
城福監督も「千葉が戻ってきたのは、チームにとっても喜ばしいこと」と歓迎した。その後、6月下旬の韓国キャンプと、帰国後の練習でのポジション争いを経て、千葉はベンチメンバーに入り、7月18日のJ1再開を迎えた。
7月18日、エディオンスタジアム広島でのガンバ大阪戦。65分、千葉が野上との交代で登場すると、サポーター席からは「千葉ちゃん、おかえり!」と大きな声が飛んだ。開幕戦での負傷から、約5カ月がたっていた。
すでにスコアは3-0。しかもG大阪は開始8分に退場者を出しており、勝利は濃厚という状況での復帰戦だった。もう右腕にプロテクターは必要ない。敵陣でのパス回しに参加しつつ、相手の反撃には体を張って立ち向かうなど攻守両面で問題なくプレーし、4-0の完封勝利に貢献した。
「難しい状況ではなかったですが、久しぶりにピッチに立てて、チームの勝利に少しでも貢献できたと思うと、うれしかったです。スタジアムで試合ができるのは、やっぱり幸せなことですね。楽しかった」
過ぎた5カ月を後悔するよりも。
練習への完全合流後、体にリバウンドが出たこともあったが、しっかりコンディションを整えて再開を迎えた。右手首にはボルトが1本残っているが、シーズン終了後に除去するまでは、このままプレーを続ける。可動域に少し硬さはあるものの、恐怖感や痛みはない。シーズン後半戦はリーグ制覇と同時に、個人的には完全復活を目指す戦いとなる。
「前半戦は失ってしまったので、後半戦は個人的に巻き返したい。強い気持ちでやっていきます。5カ月もかかるとは思っていなかったけど、過ぎてしまえば、あっという間でした。過ぎた5カ月を後悔するよりも、糧にして、この先どうやってサッカーをやっていくかが大事。ネガティブには考えていません」